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山下実優が感じたプロレスラー11年目の「マンネリ」と進化 里村明衣子との 1対1、伊藤麻希とのタッグへの思いも語った (2ページ目)

  • 大楽聡詞●取材・文 text by Dairaku Satoshi

――その試合の渡辺選手の印象はいかがでしたか?

山下:それまでとは意識が変わっていました。ただ「ベルトを獲る」「山下実優を倒す」と思っていただけでは、私に勝てなかったと思います。ベルトに対しての思いだけじゃなく、「ベルトを獲得した後、どうしていきたいのか?」という将来のビジョンも持っていた。それが勝負を左右したんだと思います。

 ただ倒すだけでは、お客さんの印象は「山下に勝った渡辺」というだけだし、ベルトが小さく見えてしまう。獲ったベルトの価値を高めるために、盛り上げるのがチャンピオンの仕事。その意識があったから渡辺は大きく成長し、現在も王者として防衛し続けているんだと思います。

【11年目で感じたマンネリと新たな気づき】

――4月からは2カ月半の海外遠征。帰国後の6月30日には、DDTのリングで髙木三四郎&山下実優vs男色ディーノ&伊藤麻希のミクスドマッチが行なわれました。凶器あり、"尻出し"をめぐる攻防ありとハチャメチャな展開になりましたが、そんな戦いにも適応していましたね。

山下:私にはまだ隠れている能力があるのかもしれません(笑)。この試合はシンプルに面白くて、「お客さんを楽しませることが一番だ」と、あらためて気づかされました。

 実は、今年の海外遠征中に「私、ちょっと面白くないな」とマンネリを感じていたんです。いろんな選手と戦うなかで、「この選手はこう攻めてくるだろうな」とわかって、それに対応する自分の戦い方がワンパターンだと感じて。「このままでは弱くなって、いつか負けが続く日が来てしまう」と思ったんです。

――キャリアを重ねてきた山下選手でも、そんな新たな気づきがあるんですね。

山下:長く活動すると、ある程度"流れ"は予想できるんですが、流れを読みすすぎて「こうじゃなきゃいけない」と考えると、"固い"試合になってしまうんです。レスラーは、「このカードで何を見たいのか?」を意識しなければいけない。プロレスはお客さんを満足させないと、勝っても意味がないですから。

 髙木さんや男色さんと戦ったことで、いろいろ考えすぎていたものを全部落とすことができたし、「もっと自分にも可能性があるのかも」と思えた。「これからは考えを柔らかくしていこう」と気持ちを切り替えました。

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