ブル中野がヌンチャクを武器とし男性ホルモンの注射を打ったわけ 人気絶頂の極悪同盟での苦悩も明かす (2ページ目)

  • 大楽聡詞●取材・文 text by Dairaku Satoshi

【「全員が私たちを攻撃してきた」】

――悪役として体重を増やすために、男性ホルモンの注射をしたという話もありますが、本当ですか?

ブル:本当のことですね。当時、ダンプさんの体重が100キロあったんですが、自分はどうしても92キロまでしか太れなくて。「100キロにする」と決めたのは、アジャコングとの対戦が始まった頃かな。それで男性ホルモンの注射を打って増量しました。

――テレビドラマ『毎度おさわがせします』や『夏・体験物語』などに出演していましたが、それで極悪同盟のファンが増えたのでは?

ブル:極悪同盟全体というより、個人個人に"追っかけ"が少しずつ増えていきました。ただ、当時はそれを気にする間もないほど本当に忙しすぎて、移動する時だけ眠るような生活でした。試合が終わってから緑山スタジオに行って、夜からずっと撮影。それが終わって、帰る車内で寝る感じです。睡眠時間は、1日平均で3、4時間でしたね。

――当時、極悪同盟が乗っているバスを叩いたファンが、新人のレスラーに怒られて腕立て伏せをやらされた、と聞いたことがあります。

ブル:体を触ったり石を投げたりするファンがいると、捕まえて懲らしめましたね。捕まえないと自分が先輩から怒られますから(笑)。当初は捕まえたあと、二度と舐められないようにボコボコにしました。ただ、それが会社のなかでも問題になって、「ファンに手を出してはいけない」ことになったんです。今では当たり前のことですけどね。

 それで「じゃあ、どうしようか」となり、腕立て伏せやスクワットをやらせる仕置きスタイルに。しかし、それも徐々にダメになってきて、最終的にモノマネなど何かをやって、「極悪同盟の誰かを笑わせたら帰っていい」というルールになりました(笑)。

――1985年8月28日、大阪城ホールでダンプ松本vs長与千種の敗者髪切りデスマッチが開催され、ダンプさんが勝利。リング上で長与さんの髪切りが行なわれましたが、試合後、バスが取り囲まれるというハプニングがありました。

ブル:勝利したダンプさんはもちろん、セコンドについていた私も、退場時にはお客さんからのヤジの嵐を浴びながら、殴られたりもました。警備員からも殴られましたよ。とにかく、全員が私たちを攻撃してきました。なんとかバスまで行くことはできたんですけど、ファンに囲まれて動かない。そのうち、ファンがバスを揺らし始めたので、ダンプさんと「バス倒されないかな?」「家に帰れるかな?」と話した記憶があります。

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