ロード・ウォリアーズ再結成の豪華6人タッグ ケンコバはパワー・ウォリアーの空気の読まなさに「これぞ健介!」 (3ページ目)

  • 松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji

――まさに愛すべき男ですね!

「健介は、若手時代からひとつの技にこだわるところがありました。1986年にデビューしてからしばらく、決め技と言えば『逆一本背負い』の一本槍。そんななかでホーク・ウォリアーに誘われて、1992年からタッグを組むようになり、チーム名は『ヘルレイザーズ』に。顔面にペイントを施して、名前も『パワー・ウォリアー』へと変わった。俺は当時、『ここは健介にとってチャンスやから、頑張ってほしい』と祈ってましたし、パワー・ウォリアーになったことで、どう試合内容をモデルチェンジするかに注目していたんです。

 それで何試合か『ヘルレイザーズ』の戦いを見て、俺が独自に技を統計してみたら......健介からパワーになったことでの違いは、逆一本背負いをしないことだけでした(笑)。厳密に言えば、パワーとして逆一本背負いをやった試合もありますし、現にこの6人タッグでもスコット・スタイナーに見舞っているんですが、パワーに変身してから決め技としては使わなくなりました」

――結果、「健介」も「パワー」もあまり変わらなかったということですか?

「いえいえ、そうではないです。パワー時代の健介は体がデカくて、ノートン、ホーク、スタイナー・ブラザーズといったウルトラヘビー級のレスラーと並んでも見劣りしなかった。その影の努力も俺はしっかり認めたいんです」

――おっしゃるとおりですね。

「パワー・ウォリアーは今後、きちんと考察したほうがいいかもしれません。そうしたら、『黄金時代』と呼ばれる1990年代の新日本プロレスを見返すうえで、新たな何かが見えてくるかもしれませんね」

――ぜひ、この連載で考察しましょう!

「了解です。ちょっと話が逸れましたけど、6人タッグに戻りましょう。

 パワーが最初にパワースラムを繰り出したことで、この試合で俺が注目していたポイントはひと段落。それで、純粋に豪華な顔ぶれを見ていたんですが、徐々に違和感を覚え始めたんです。

 何度かこの連載でも、プロレスの試合における『違和感』を話してきましたよね。それは、たいていギスギスした感じのものだったんですが、この試合で俺が抱いた違和感はまた違った。それは、この試合がやさしさに包まれていたことなんです」

――ユーミンさんじゃないですか(笑)。

「そうです。この試合を見ているうちにユーミンさんの歌声が聞こえてきたんです。『やさしさ』なんて言葉は、この6人には似合わないですよね? だけど、聞こえてきたんですよ。その違和感の真相は、中編でお話ししましょう」

(中編:大迫力の6人タックに感じた「やさしさ」の正体 スコット・ノートンとホーク・ウォリアーとの絆>>)

【プロフィール】
ケンドーコバヤシ

お笑い芸人。1972年7月4日生まれ、大阪府大阪市出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。1992年に大阪NSCに入学。『にけつッ‼』(読売テレビ)、『アメトーーク!』(テレビ朝日)など、多数のテレビ番組に出演。大のプロレス好きとしても知られ、芸名の由来はプロレスラーのケンドー・ナガサキ。

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