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「死ぬんじゃないか」と心配されたジャイアント馬場がハンセン相手に躍動。実況アナも「やれ! 馬場」と叫んだ (3ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by 木村盛綱/アフロ

「ハンセンコール」が「馬場コール」一色に

 この間、11秒。誰もが「衰えた」と思っていた馬場の躍動に、ファン、中継したスタッフまでも心をわしづかみにされた。倉持はファーストコンタクトの11秒間をこう伝えた。

「さぁ試合が始まりました。3本のロープを大きく、大きく使います。さぁ肩から当たった。まずはショルダータックル。スタン・ハンセンの......。16文だ! これは奇襲戦法。16文ヒット! ジャイアント馬場の16文がスタン・ハンセンの顎のあたりを捉えました」

 馬場は河津掛け、左腕へのアームブリーカーでハンセンを攻めた。馬場の"健闘"に、試合前は「ハンセンコール」が多かった館内が「馬場コール」一色に変わった。左腕へチョップを馬場が叩き込むと、倉持は「やれ! やれ! 馬場。やれ! やれ! 馬場」とファンの声援に自らの実況を重ねた。

 馬場が32文人間ロケット砲を放って館内が最高潮に達したあと、ハンセンのウエスタンラリアットで両者が場外へもつれた。場外戦でレフェリーのジョー樋口が割って入るが、ハンセンに殴打されて樋口が失神。レフェリー不在の状態でリングインしたハンセンは、エプロンに立つ馬場を攻撃する。

 すると、グレート小鹿と大熊元司がリングイン。ハンセンが大熊にラリアットを放って大混乱に陥ると、ゴングが鳴った。試合時間は12分39秒。裁定は「両者反則」だった。不透明な決着ながら、9度目の防衛に成功した馬場を倉持は実況で絶賛した。

「さすがにジャイアント馬場であります。勝負のほうは両者反則で結局は引き分け防衛でしたけど、これでジャイアント馬場の評価は、実力は高く高くさらに評価されるでありましょう」

 この対決は、東京スポーツが制定する「プロレス大賞」の「年間最高試合賞(ベストバウト)」を受賞するなど、ファンや関係者が高く評価。「馬場復活」を満天下に示す名勝負となった。

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