井上尚弥の「匂わせツイート」も現役復帰を後押し。元太平洋王者・井上浩樹はアニメ『バンドリ』を見て最終決断を下した (4ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 立松尚積●写真 photo by Tatematsu Naozumi

――浩樹選手は現役時代、尚弥選手や拓真選手も含めて「1番才能がある」「井上家の最終兵器」などと言われていましたが、そのプレッシャーはありましたか?

「いえ、まったくありませんでした。その言葉をまったく信じていませんでしたから(笑)。『おちょくられているのか?』と思っていたんですが、10年くらい言われ続けたので、『ウソにしては長いな』とも思うようになって。尚弥もいまだに『才能があることに気づいたらもっと強くなるよ』と言ってくれるので、本当に才能があると思い込むことにしました」

――大橋会長や、尚弥選手と拓真選手のお父さんでトレーナーの真吾さんも、浩樹さんが「1番」と明言されていますね。

「ただ、ボクサーとして大事な部分が欠けていたことは自分でもわかっています。それは心技体の『心』の部分。最後に勝負を分けるのは、『絶対に敗けない』という精神力だと思うんですが、尚弥や拓真はぶっちぎって心が強い。ボクシングから一度離れて2人の戦いを見た時に、それを再認識しました」

――浩樹選手にも、闘争心はあるんじゃないですか?

「闘争本能はあまりないかもしれません(笑)。『闘争心』ではなく『逃走心』という感じで、勝てそうな試合だと逃げきることを狙うような試合もありました。ベルトがかかっている試合や、相手によっては気持ちが盛り上がる時もあったんですが......波があるかな、と自分でも思います」

――復帰後はボクシングのスタイルも変わりそうですか?

「勇気と頑張りを感じてもらえるボクシングがしたいです。以前は、負けることが怖くて安全な距離で戦っていました。そのスタイルを捨てて、打ち合ったり、ここぞというところで前に出られるようにしたい。そして観ている人に楽しんでもらいたいです」

――復帰戦の入場曲はもう決めていますか?

「やっぱり『バンドリ』の曲でいきます!」

(後編:いとこの浩樹だからこそ知る井上尚弥の素顔。ドネアとの再戦秘話、珍しい出来事を明かした>>)

【プロフィール】
■井上浩樹(いのうえ・こうき)
1992年5月11日生まれ、神奈川県座間市出身。身長178cm。いとこの井上尚弥・拓真と共に、2人の父である真吾さんの指導で小3からボクシングを始める。アマチュア戦績は130戦112勝(60KO)18敗で通算5冠。2015年12月に大橋ジムでプロデビュー。2019年4月に日本スーパーライト級王座、同年12月にWBOアジアパシフィック同級王座を獲得。2020年7月に日本同級タイトル戦で7回負傷TKO負けを喫し、引退を表明したが2022年2月に復帰を表明した。通算15勝(12KO)1敗。左ボクサーファイター。アニメやゲームが好きで、自他ともに認める「オタクボクサー」。

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