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「井上尚弥は違う銀河系にいる」。ドネア戦を実況した米アナが「いつもと違った戦い方」や今後、PFPなどを語り尽くした (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

4団体統一か、階級を上げるか

 試合後、井上はWBO王者のポール・バトラー(イギリス)と戦い、「4団体を統一したい」と明言しました。バトラーはいい選手ではありますが、才能面では井上は"違う銀河系にいる選手"と言っても大袈裟ではありません。「これほど一方が圧倒的に有利な世界タイトル戦は珍しい」と言われるようなカードで、いい試合になるとは思いませんね。ただ、井上が栄誉ある4団体統一を望む気持ちは理解できますし、だとすれば試合が組まれるべきでしょう。

 バトラーとの統一戦をクリアしたら、その後はスーパーバンタム級に挑むのを楽しみにしたいですね。最近では、WBC、WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン (アメリカ)と井上の対戦が"軽量級のドリームマッチ"と目されるようになってきています。井上は才能的に「地球上でナンバーワン」のボクサーかもしれないし、フルトン は1階級上のスーパーバンタム級で強豪を次々に下してきた選手です。

 井上vsフルトン戦は私から見ても魅力的なカードで、遠くない未来に実現の可能性はあると思っています。両選手ともに統一路線を進んでおり、井上がバトラーを、フルトンがWBA、IBF王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)を下し、共に統一王者として激突することがあれば、これほど理想的なシナリオはありません。

文句なしのPFP1位になるためには?

 パウンド・フォー・パウンド・ランキング(PFP)についてもふれておくと、ドネア戦で力を誇示した井上は1位か2位のどちらかにランクされるべきだと考えています。

 多くの関係者は、クルーザー級の4団体を統一し、ヘビー級のタイトルも手にしたオレクサンデル・ウシク(ウクライナ)を高く評価しています。私もこの件について考えるたびに迷いますが、現時点で問われたら、「井上こそがナンバーワンだ」と答えます。先ほども述べたとおり、彼こそが地球上で最も才能に恵まれたボクサーだと感じるからです。何かが変わったわけではなく、井上は以前から同じくらいの力を持っていましたが、ドネア戦でそのすごさをあらためて思い知らされました。

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