全日の脇役からスターへ。ジェイク・リーの葛藤と人生を変えた出会い (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • photo by ALL JAPAN PRO-WRESTLING

「人との出会いです。僕は倉本先生との出会いがあって変われた。自分自身で気づくこともいっぱいあるんですけど、誰かと出会うことで気づくこともすごく多い。そういう人と出会うためには、常に準備をすることです。どんな準備をしたらいいかと言うと、掃除、洗濯、身の回りの整理。たとえば、『タンスの1段目になにが入っていますか?』と聞かれて、パッと答えられるかどうか。基本的なことですが、常に動ける態勢でいることが大切だと思います。チャンスって本当に、いつ来るかわからないんですよ。いつ来るかわからないものを待つなんて馬鹿馬鹿しいと思うのか、逆にそれを自分から掴みにいってやるという気持ちで常に臨戦態勢でいるのか。これで分かれるんじゃないかなと僕は思っています」

 全日本プロレス取締役ゼネラルマネージャーであり、ジェイクをデビュー当時から見てきた秋山準は、いまのジェイクについてこう話す。

「昔から、『みんなで全日本をよくしたい』という気持ちが彼にはすごくあります。だけど、主役は自分ではないと思っていた。自分は周りの人間を上げて、脇役に徹したいと。けど最近、『俺がいかないといけない』というのが見えてきた感じですね。チームを率いて、自分が動かなければいけないというのは本人もわかっていると思うし、リング上の立ち居振る舞いもだいぶ変わりました。本人が自分のスタイルを見つけ出して、ジェイク・リーというカラーを出していると思います。

 三冠戦のあと、『俺が言うことはもうなにもないからな』と彼に言ったんです。ここからはもう、自分で考えろと。失敗することもあると思うんですよ。それも自分の責任として、自分の失敗を修正して、自分で考えていく時期ですね。全日本だけでなく、プロレス界を代表する選手になってもらいたいと思います。あんまり言うとプレッシャーになるかもしれないけど、いまの彼だったらプレッシャーもニコッと笑えるくらいじゃないですかね」

 昨年11月、ジェイクはSweeperの解散を発表。これから彼が全日本プロレスのなかで、そしてプロレス界のなかでどのような地位を確立していくのか、目が離せない。

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