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伊調馨が語る女子レスリングの新勢力図。
絶対女王が外から見ると... (4ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 一方で沙羅は初戦、慎重になり過ぎましたが、その後は失点ゼロ。肩の負傷をまったく感じさせない堂々とした戦いぶりで、課題としていたディフェンス力が格段に進歩しました。タックルという武器があるので、安定した戦いができるのでしょう。

 私は世界選手権での優勝がオリンピックより先でしたが、2002年のギリシャ・ハルキダで優勝したとき、『10年ぐらい、このチャンピオンの座は渡したくない』と思ったものでした。その大会で沙保里さんも初めて世界を制し、結果的にそれからふたりともずっと勝ち続けましたが、同じスキルのままでは連覇はできない。ライバルたちが必死で追い上げ、研究してくるわけですから。梨紗子も沙羅も十分わかっていると思いますが、これまでの何倍も練習して2020年まで勝ち進んでほしいです」

 今回の世界選手権で奥野春菜(至学館大)や須崎優衣(JOCエリートアカデミー/安部学院高)が優勝すると、「18歳での世界制覇は伊調馨以来」と報じられた。また、JOCエリートアカデミー生初の快挙を達成したスーパー高校生・須崎は「体幹や足腰が強くてバランスがよく、パワーがある」と評され、"伊調2世"との呼び声も高い。ただ、伊調はふたりにエールを送るとともに、厳しい意見も述べた。

「春菜はイタリア戦、アメリカ戦ともに8-0。準決勝のブルガリア戦も11-0のテクニカルフォール勝ちで危なげない戦いをしていましたが......優勝した選手に対して偉そうなことを言って申し訳ないのですが、もっと暴れてほしかった。圧勝、圧勝でいくような。落ち着きすぎているようにも見えました。25~26歳でもできるレスリングというか。非常に能力の高い選手なので、『もっといけ!』と。そうしたほうが得るものも大きいはずです。

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