「俺のような柔道家になってほしい」。
小川直也が息子・雄勢に託す夢 (2ページ目)
──「かわいそう」ですか。
「そう。だって、彼は親を選べない。柔道をやりたいと思って始めたのに、その時から俺の完成形の柔道を期待されてしまう。二世選手がどのスポーツでも大変なのは、親の現役時代と重ねれることですよ。親のような活躍を発展途上の段階から期待され、将来を託されるわけだからね。
見る人はどうしても物足りなさを感じてしまうから、二世選手の苦労は普通の選手の倍はある。ただ、その苦労を乗り越え、何かしらの目標を成し遂げたら、反響も倍になって返ってくる。それはメリットでもあるし、『どっちが雄勢にとって幸せなのかな』とは考えますよ」
──今年4月の全日本選手権では、3回戦で90kg級の選手と対戦し、ゴールデンスコアにもつれた末、「指導」の差で敗れました。
「試合を捌く審判も、先入観を捨ててほしいという気持ちはあるね」
──主審も、現役時代の父親の柔道とだぶらせてしまうということですか?
「端から強い柔道のイメージを持っちゃっているわけよ。だから物足りないと、『指導』とジャッジされる。やっぱりかわいそうだな」
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