井上康生「新ルールになっても、
一本を狙う日本柔道は変わらない」 (5ページ目)
── 選手のリミッターを外すのが指導者の役目であると。
「そうですね。最近、日本ハムの栗山英樹監督と対談させてもらったんです。栗山監督の本を読んで、また対談させてもらう中で、選手のモチベーションを高め、潜在能力を引き出すのがすごい方だなと思います。たとえば、大谷翔平選手を"1番・投手"で起用したり、DHで出場しているのに9回のマウンドに送り出したり、あるいは抑え投手だった増井浩俊選手を先発させてみたり......。ああいう選手起用というのは、監督として、勇気がいることだと思うんですが、選手のやる気を引き出すということにおいて、興味深い采配ですよね」
── 監督の期待を、大谷選手などはプレッシャーに感じていません。
「そうなんですよ! 栗山監督は起用法だけじゃなく、声をかけるタイミングなども絶妙ですよね。そしてそれに応える大谷選手の能力がとてつもなく高い」
── 身長188センチの飯田選手も身体能力が高く、小学生時代は野球選手で、シニアリーグから声がかかったという話を聞いたことがあります。サッカーもやっていたようで、足技が得意なのはその影響だと話しています。
「飯田は雰囲気的に大谷選手と似ていますよね。賢いコメントを発するし、顔も精悍。共通する部分がありますので、野球界の顔となっている大谷選手のように、柔道界の顔になってもらいたいですね」
── 彼は右組みで、内股を得意としますが、20年前の誰かと柔道スタイルがダブりませんか。東海大相模高校時代から大きな注目を集めた井上康生に......。
「いやいや(苦笑)。私はもっと子どもでしたよ」
(おわり)
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