樋口黎、レスリング男子32年ぶりの
学生「銀」。4年後に希望の光 (2ページ目)
「初めて戦う相手には、強いんです」「プレッシャーがかかればかかるほど、力を発揮できるタイプです」「体操の内村航平選手も、たしか北京オリンピックが最初の国際大会でしたが、銀メダルを獲りましたよね。初めてだから、とかは関係ないと思います」
恐れを知らぬルーキーは、自らの発言どおり、リオの大舞台でもその強さを遺憾なく発揮した。武器となったのは、どんな間合いでも、どんな体勢からでも相手の足に触り、確実に極(き)めていく片足タックルだ。
初戦の相手は、2014年の世界選手権を制したヤン・ギョンイル(北朝鮮)。その実力者に樋口は臆(おく)することなく、いきなり片足タックルを炸裂させた。さらにローリングでポイントを重ね、4分14秒のテクニカルフォール勝ち。2回戦も勢いは止まらず、アサドラ・ラナチウ(ベラルーシ)を4分18秒で10−0とし、連続テクニカルフォール勝ちを収めた。
これが、"若さ"というものだろうか。昨年暮れ、全日本チャンピオンになってから一直線の右肩上がりで伸びてきた樋口は、オリンピック本番でも一戦ごとに自信をつけ、成長していった。
準々決勝、ますます調子が上がってきた樋口は、ヨウリス・ボネ・ロドリゲス(キューバ)にも片足タックルを軸に、ローリング、投げ技を極めて8−4で勝利。さらに準決勝では、2013年の世界選手権55キロ級チャンピオンで、昨年の世界選手権でも銀メダルを獲得したハッサン・ラヒミ(イラン)に対し、試合開始20秒で得意の片足タックルからバックに回って先制。その後もグラウンドでの攻防をことごとく制して10−5で撃破し、今大会、日本レスリング男子ふたり目のファイナリストとなった。
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