樋口黎、レスリング男子32年ぶりの
学生「銀」。4年後に希望の光 (4ページ目)
「指導してくれたコーチや先生方、応援してくれる方があってこその銀メダルには、素直に感謝していますが、やっぱり1番でなければ意味がない。そう思ってやってきたので、2番は悔しい。
決勝も、内容的には五分五分で、勝てる試合でした。やっぱり1番になるためには、自分にはまだ足りないものがあるんじゃないかと見つめ直し、このオリンピックでの悔しさを糧(かて)にするとともに、ひとつのステップにしていきたいと思います」
昨年9月に行なわれた、オリンピック第1次選考会を兼ねた世界選手権。女子は6階級中5階級で出場権を獲得したものの、男子はフリースタイル、グレコローマンスタイルあわせた12階級で、出場権を獲得できた数はゼロ......。「ドン底」と言われ、日本レスリング協会の福田富昭会長が頭を丸めて懺悔(ざんげ)するほどの低迷ぶりだった。
だが、リオでその汚名は返上した。グレコローマンスタイルでは59キロ級の太田忍が銀メダル、66キロ級の井上智裕が5位入賞。フリースタイルでは57キロ級の樋口が同じく銀メダルを獲得し、74キロ級の高谷惣亮(たかたに・そうすけ)が7位入賞。1952年ヘルシンキ五輪から続くメダル獲得の伝統も守られた。
しかも、太田は大学を卒業したばかりの22歳。樋口は現役大学生の20歳。それぞれのスタイルに4年後、2020年の東京五輪に向けてのリーダーが誕生したことは、伝統ある日本レスリング界にとって大収穫である。
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