樋口黎、レスリング男子32年ぶりの
学生「銀」。4年後に希望の光

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 映画『ALWAYS 三丁目の夕日』に登場する少年のような、どこか懐かしいあどけなさが残る20歳7ヶ月の大学3年生――。日本レスリング史上6番目となる若さでオリンピック出場を果たしたフリースタイル57キロ級・樋口黎(ひぐち・れい)が見事、銀メダルを獲得した。

初の大舞台となったリオ五輪で樋口黎が銀メダルを獲得初の大舞台となったリオ五輪で樋口黎が銀メダルを獲得 レスリング男子の学生メダリストは、2008年北京五輪・銅メダリストの湯元健一(60キロ級)以来。学生の銀メダル獲得となると、1984年ロサンゼルス五輪の赤石光生(62キロ級)までさかのぼり、実に32年ぶりの快挙である。

 また、日本レスリングがもっとも得意としてきたフリースタイル最軽量級(ロンドン五輪までは55キロ級)では、アテネ五輪の田南部力(たなべ・ちから)、北京五輪の松永共広、ロンドン五輪の湯元進一に続き、4大会連続でのメダル獲得となった。

 昨年12月末に行なわれた天皇杯・全日本選手権で、10代で初優勝を飾った日本体育大の樋口は、オリンピック予選の出場権をゲットすると、今年3月のアジア予選も難なく制し、一発でオリンピック代表の座を掴んだ。そして、本番直前の6月には、ヨーロッパ遠征を敢行。国際大会2連覇を果たし、リオに乗り込んだ。

 オリンピックはもちろん、世界選手権への出場経験すらない。世界に手の内を知られていない"日本の秘密兵器"は、オリンピック前、強気の発言を繰り返した。

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