吉田沙保里のライバル、村田夏南子が「RIZIN」で総合格闘技参戦 (3ページ目)

  • 布施鋼治●文 text by Fuse Koji  保高幸子●写真 photo by Hotaka Sachiko

 大学時代に取材した際、「空いている時間を決して無断にしない」とも語っていた。

「(講義が)1コマとか時間が空いたら、学校のトレーニングルームで練習するようにしています。学食で友達と談笑? そういう時間はないです」

 これだと思ったら一直線。昨年夏、日大レスリング部の富山英明監督に進路相談をした際、村田はハッキリと「MMAをやってみたい」と告げた。数年前から女子MMAをメジャーに押し上げた立役者ロンダ・ラウジー(元UFC女子バンタム級王者)のファンで、自分もやりたくなったのだ。その場で富山監督は日本レスリング協会の福田富昭会長に電話した。福田会長は電話を代わった村田に確認した。

「MMAをやりたいというのは本当か?」

「ハイ、やらせてください」

「RIZIN」でデビューできることになったのも福田会長の推薦があったからにほかならない。女子を強化したいという青写真を描いていた「RIZIN」にとっても、村田の加入は願ったり叶ったりだ。昨年9月から村田は現・DEEPフェザー級王者である横田一則の指導のもと、MMAの練習を開始した。

 当初は昨年12月31日のデビューを予定されていたので、初体験の打撃の技術を突貫工事で吸収しなければならなかった。10月下旬、筆者は村田の練習を見学させてもらった。リングの上で彼女は横田にジャブの打ち方を学んでいた。まだ打つときのガードが低かったが、打撃に怖がっている素振りはなかった。パンチから胴タックルでテイクダウンを奪うと、横田は「いいね、昨日より全然いいね」と目を細めていた。

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