【ボクシング】西岡利晃「日本人も本場アメリカを目指さなければウソになる」 (2ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • 作田祥一●撮影 photo by Sakuta Shoichi

――では今年、日本ボクシングコミッションがIBF、WBOの2団体を認可する方針については、どう考えますか?

西岡 (同じ階級に4人の世界王者が誕生することで)チャンピオンの価値が下がるという意見もあるかもしれません。ただ、IBFやWBOには、WBAやWBCと同等、あるいはそれをしのぐ選手もたくさんいる。4つの団体、どこにも強いチャンピオンがいるんで、それなら認可して、チャンピオン同士で戦うのがいいんじゃないかなと。本当に強さを証明したいなら、統一戦をすればいいわけです。これだけネットが普及した今、強い選手は誰なのか、みんな分かりますから」

――昨年に井岡一翔選手と八重樫東選手が行なった『日本初の2団体王座統一戦(※)』のように、国内のファンも、より魅力ある対戦カードを求める傾向にあるのではと感じます。

(※)日本初の2団体王座統一戦=WBC王者の井岡一翔と、WBA王者の八重樫東が、同じ世界ミニマム級の王座を賭けて対決した統一戦。

西岡 そうですね。相手が世界ランカーだったら誰でもよく、勝ったり防衛すれば、どんな相手であろうとも「新聞の1面」「テレビの視聴率も高い」って時代ではないじゃないですか。「どんな相手なのか?」「どんな試合をするのか?」を、よりファンの人たちが求める時代になっていると思います。だから、日本人同士の世界タイトルマッチはもちろん、日本人選手には海を渡ってほしいですね。よりレベルの高い、より質の高いボクシングをファンに見せることが要求されているんじゃないでしょうか。

――現在、試合の解説をされることも多いですが、昨年12月には、長谷川穂積選手(元WBC世界バンタム級&元WBC世界フェザー級王者)のノンタイトル10回戦に足を運ばれましたよね?

西岡 はい。長谷川の応援に。

――試合はどう見ましたか?

西岡 悪かったですね。率直な感想です。不用意にパンチをもらいすぎ、ロープに詰まりすぎ。もっと(長谷川)本来のボクシングができるんじゃないのかなって。

――では、粟生隆寛選手(元WBC世界スーパーフェザー級王者)や山中慎介選手(現WBC世界バンタム級王者)など、帝拳に所属する元ジムメイトに伝えたいことはありますか?

西岡 自分自身の経験を通して言うならば、粟生や山中に限らず、思い残すことなく引退できるように『今』を頑張ってほしい。やれる限りのことをやって、やれる限りの努力をして、すべてを出し切ってボクシングを終えるということが一番大事。それに尽きます。そうしないとボクシングって、どれだけやっても、またやりたくなるんですよ。ボクサーが入場する瞬間、リングに立つ瞬間、解説席から見ているとやっぱり、『カッコいいな』って思いますから。

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