【男子バレー】正真正銘のワールドクラス、ブリザールが日本でのプレーを選択した理由
アントワーヌ・ブリザール/大阪ブルテオン
インタビュー前編(全3回)
サッカーのJリーグやプロ野球だけでなく、バレーボールのSVリーグにも、さまざまな国からやってきた外国籍選手が在籍している。彼らはなぜ、日本を選んだのか。そしてこの国で暮らしてみて、コートの内外でどんなことを感じているのか。シリーズふたり目のバレーボール選手は、直近の五輪を2連覇したフランス代表のセッターで、今季から大阪ブルテオンに加わった正真正銘のワールドクラス、アントワーヌ・ブリザールだ。
世界のトップセッターのひとり、アントワーヌ・ブリザール photo by Shogo Murakami
【仲間から「えぐい」と言われるクオリティー】
チームメイト、対戦相手、指導者、関係者、ジャーナリストと、バレーボールに通じる人々が異口同音にこんなことを言う。
「アントワーヌ・ブリザールこそ、今季の大阪ブルテオン、いや、SVリーグで最大の注目選手のひとりだ」と。
経歴だけでも、それは明らかだ。この5月で32歳になるフランス代表のセッターは、2021年に開催された東京五輪でフランス代表史上初の金メダル獲得に貢献。そこから2022年のネーションズリーグを制し、2024年にはネーションズリーグと五輪を連覇し、この競技におけるフランス黄金時代を築いた中心人物のひとりだ。クラブレベルでは、出生国フランスを皮切りに、ポーランド、ロシア、イタリアというトップクラスの各国リーグでプレーしてきた。
パフォーマンスを見れば、それは確信に変わる。196センチの高身長のセッターは、常に仲間と状況を見ながら、その時々で最良の選択と思われるプレーをする。ギリギリまで見極めて高速のトスをノールックで出したり、完璧なクイックで鮮やかなスパイクを導き出したり、フェイクのツーで自ら得点したり──トリッキーでスキルフルなプレーの数々は、日本のバレーボールファンに新たな楽しみをもたらしている。
「えぐいっすよ」とブリザールのクオリティーを評したのは、チームメイトの山本智大だ。
「まず何よりもトスが正確で早いので、相手ブロッカーが間に合わない。それに自ら得点も奪える。(フェイクの)ツーで仕留めるのも、抜群にうまいです。(リベロの)自分は練習の時から、それを狙ってパスを出すこともあります。自分の得点みたいな感覚で、めちゃめちゃ面白いんです。彼とプレーする時、周りの選手の目が輝いていますよ」
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著者プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。

