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【SVリーグ】ムセルスキーが日本で一番印象に残っている試合「私は妻の誕生日で一度も負けたことがない」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Yoichi Igawa

【長年にわたって酷使してきた身体は確実に擦り減っている】

「自分の人生で一番の試合はロンドン五輪決勝だが、このSVリーグの一戦も実に印象深いものだ。(両チームを通じて)マッチポイントは計21回もあった。最後の最後まで、どちらが勝ってもおかしくなかったんだ。でも妻の誕生日だったこともあり、私は勝てると信じていたよ」

 その時もスタンドからは大勢のファンが声援を送っていた。日本のバレーボールファンについては、次のように語る。

「ものすごく親切で、思慮深い人々だと思う。そしてすごく驚かされたのは、選手にプレゼントを持ってきてくれることだ。自分にとっては初めての経験だったし、嬉しかった。それから彼女たちや彼らは、一緒に写真に収まりたい時には、こちらにきちんとお願いしてくる。ほか国では、いきなり肩を組まれて撮られたりすることもあるから」

 そうしたすべてが、ムセルスキーの胸に生き続けると、彼は言う。チームメイト、コーチ陣、スタッフ、ファン、数々の激戦──加えて、穏やかな日々や行く先々で触れた日本の伝統や文化なども。そして8年間を過ごした日本には、また戻ってきたいと言う。

「引退後に指導者になるつもりはまったくないが、古巣の試合を観戦するために、また日本を訪れたいと思っている。ここには友だちもいるし、忘れられない場所になったから」

──その時を皆が待っているはずです。

「どうかな。アスリートは今その瞬間に活躍していることが重要だから」

 ムセルスキーは最後にまたそう言った。そしてこちらが差し出した右手を大きくて分厚い手で包み込み、インタビューは終わった。

 その後、私たちはチームの練習の冒頭を見学させてもらった。コンディションが万全ではなかったムセルスキーは念入りにストレッチをして、チームメイトと同じメニューをこなしていく。ボールをふたつ使った3対3の練習では、ポイントを取るごとに仲間と喜び合い、失点すると共に悔しがった。188センチの髙橋藍が小さく見えるほどのチームの主柱かつチームプレーヤーは、現役最後のシーズンを楽しんでいるようだ。

 ただ彼自身が言うように、長年にわたって酷使してきた身体は確実に擦り減っている。このインタビューの後、サントリーは第15節のヴォレアス北海道との2試合に連勝したが、ムセルスキーの出番は短かった。

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