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【男子バレー】髙橋藍が見せるふたつの顔 オールスターで見せた笑みと「勝負師」の恍惚 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【「"いいバレー"をしないと勝てない」】

「自分が好きっていうのでバレーを始めてないので。兄(髙橋塁/サントリー)が始めるって言ってなければ、僕も始めてなかったですね。兄はバレーボールがめっちゃ好きで......ずっと『やりたい』って言っていたんですよ。ただ、うちの両親はどちらもバレーを知らなくて、始めるのに1年間かかったんですけど、兄は1年間も言い続けた」

 髙橋はかつてのインタビューで、はっきりと語っている。バレー自体よりも、バレーに伴う勝負の楽しさに取りつかれたのだ。

「兄には、『バレーボールでよかったん?』って言われますね。兄が始めた時からついていって、僕の人生を動かしたわけじゃないですか? だから責任感もあったようで、『やめたい』って言い出した時もあったから、"バレーでよかったのかな"というのはあるみたいです。今では僕も『お兄ちゃんに感謝している』って言いますし、兄は『そう言われて救われる』って言っていますね」

 パリ五輪の直前、髙橋はそう漏らしていた。バレーを極めることよりも、勝負を極めることで、誰よりもバレーの技術を身につける。そのパラドックスこそ、髙橋の正体だ。

「自分自身、(トップ選手と比べると)身長がそこまで高くないので。レシーブのところでクオリティの高いバレーボールをしない限り、勝つのは難しい。セッターが上げやすい位置にレシーブをして、セッターがいい状態でトスするという"いいバレー"を常にしないと勝てない。自分は何でもやるプレーヤーだからこそ、そこのクオリティにはこだわっていますね」

 髙橋はそう言うが、常勝の矜持が鋭利な集中力を生み出す。特筆すべきは、"猛練習を重ねた"という我執は見せず、あっけらかんとやってのける点だろう。勝利には欠かせない献身と言うのか。それは彼のバレー人生に通底するもので、中1までは158cmとスパイカーとしては小さかったが、小さな自分と向き合ってリベロに没頭した。

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