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【女子バレー】クインシーズ刈谷の北川美桜を育てた、周囲の人間とのやりとり 先に日本代表入りした秋本美空からは「待ってる」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【秋本美空とも「大の仲よし」】

 北川の周囲は賑やかで、ポジティブで、歪みがない。人とのやりとりのなかで才能を育めるのだろう。アジアU18選手権の決勝での逸話は象徴的だ。

「バレーにハマった、という試合でした。1、2セットを取られて、3セット目も20点近くまで負けていた。でも、自分がフロントに上がった時、笠井季璃さん(クインシーズ刈谷)が『この場を楽しもう!』と言ってくれたんです。それで1点を取っただけでも優勝したくらい喜んでいたら、気づいた時には逆転していました。『楽しむのが大事』とよく言われますが、それを身をもって感じた試合です。バレーは楽しければ楽しいほど力を出せるんです!」

 北川は一緒に楽しむ仲間を見つけることができ、その人柄は好意的に受け入れられる。日本代表の秋本美空(ドレスナーSC)との親交もそうだ。

「美空とは大の仲よし。U18で仲よくなったんですが、なんでこんな仲よくなったか(笑)。アジア選手権直前の国内合宿で"初めまして"のはずが、美空が『やっほー』って話しかけてきて。知り合いじゃなかったけど、美空は『もし前に会っていて、忘れていたら申し訳ないから』って(笑)。そんな始まりで、今はLINEや電話でなんでも話します。美空はすでに日本代表に入りましたが、『待ってる』と言ってくれてます」

 彼女は照れたように言う。ミドルとしては小柄(177cm)だが、俊敏で勘がよく、勝負強いプレーは、まさに"大器"だ。高校を卒業し、今年に入団したクインシーズ刈谷では、セッターの佐藤彩乃、加地春花に自主練習につき合ってもらい、クイックも特訓した。

「彩乃さんは(助走の入りが)遅かったら言ってくれるし、体の動きを作るところも、『こうやってくれたら見やすいよ』とか、いろいろ教えてくれます。それができたら、めっちゃ喜んでくれる。(横田)紗椰香さんも同じミドルの先輩として教えてくれるし、みんなに支えられています!」

 彼女はチームメイトの話をすると饒舌になった。その熱情で、人と関わって成長を遂げてきたのだろう。出会いを重ねるたび、強くなる。

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