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【女子バレー】埼玉上尾・目黒安希が三姉妹で歩んだSVリーグへの道 乗り気ではなかったバレーを続けたワケ (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

「妹は2つ年下なので、中・高とも同じチームなんですがすごく厳しくしちゃって、かわいそうだったと反省しています。『喋りかけないで』『近くを歩かないで』とか言ったり、球出しでもわざと当てて......意地悪しかしてないです(笑)。

期待していたというか、『こうなってほしい』というイメージもあったんですけどね。今は『もうちょっと優しくてもよかったんじゃない』って言われます」

 妹であり、姉でもある目黒は言った。

【「身長が低い」からこそ身につけた武器】

 青山学院大学入学後は「周りと比べると身長が低い」と気づき、そこからはレシーブの練習を頑張った。高校までライト(オポジット)でプレーしていたが、レフト(アウトサイドヒッター)で出られるようにした。

「正直、私は周りの選手に比べて体格は恵まれていません。でも、『コツコツできるのは強みだな』って思うようになりました。できない課題に対して、何が足りていないのかを見つけるのも得意かもしれません」

 機敏な動きも武器に、攻守で活躍するサイドになった。そこから、トップリーグ挑戦の扉を開いたのも姉だったという。

「大学では普通に就活をして『就職しよう』と思っていました。でも、コロナ禍でいろいろ考えちゃう時期で。試合もなくなって『これで終わるのか』と思っていたんですが、プロでやる自信もあまりなく......。その時、お姉ちゃんに『ここでやらないと後悔する。できなかったらやめる、という気持ちでやってみたら』と背中を押されました」

 目黒は選手として生き抜くため、レシーブ技術を高めた。昨シーズンのサーブレシーブ成功率は41.9%だ。

「チーム1の負けず嫌い」

 そう言われる気質が、自身も知らないうちに彼女を鍛えたのだろう。

「今年こそはメディックスで優勝したいです! 若い選手も多いなか、私は5年目になるので周りの選手を生かしていきたいですね」

 妹でも、姉でもある彼女のバレー人生の覚悟だ。

(後編:

【プロフィール】

目黒安希(めぐろ・あき)

所属:埼玉上尾メディックス

1998年5月25日生まれ、福島県出身。172cm・アウトサイドヒッター。姉の優佳、妹の愛梨もバレーボールの選手。姉の影響で小学校2年でバレーを始め、郡山女子大学附属高校では春高バレーに出場。青山学院大学を経て、2021年に埼玉上尾メディックスに入団した。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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