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女子バレー日本代表の4位は「勲章」 攻めの姿勢で鬼門ブラジルに最後まで食らいついた (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【存在感を増した佐藤淑乃】

「上がってきたトスは全部決める、という気持ちで」

 石川はそう言うが、それは男子代表キャプテンで同じアウトサイドヒッターである石川祐希の矜持にも通じる。少々トスが乱れても、前向きに打ちきる。その覚悟がチームを奮い立たせる。

 パリ五輪まではどこか遠慮したような様子も見えたが、キャプテンを託されたことで、自然とリーダーの威風が出てきた。イタリア・セリエAでの経験も経て、成熟したのか。1本1本のレシーブ、パス、スパイクに"希望を感じさせる"ようになった。

 石川の姿に触発されるように、佐藤淑乃も力強いスイングを連発し、準決勝ブラジル戦では2本もブロックを決めていた。

「(次のプレーを)イメージしやすくなってきて、スイングの速さはそうだし、ジャンプ最高到達点に達するのも早くなったかなって。今はいろんなことにトライして、楽しみながらバレーボールができています」

 そう語っていた佐藤は、試合ごとに存在感を増しつつある。

「(ブラジルのエース)ガビ選手は、思いきって打つだけでなく、駆け引きしている場面も多くて、すごいなって。敵として勝ちたい相手でもあり、憧れを捨てて頑張りたいと思います。今は(石川)真佑さんだったり、(和田)由紀子だったりに助けてもらっていることが多いと思うので、代表は半年間ですが、こうした大会で経験を積んで頑張りたいです」

 佐藤はブラジル戦のファイナルセットに、2度続けてトスを呼び込んでいる。結局、1回は止められ、次のブロックタッチを狙ったスパイクもアウトになった。しかし、攻めの姿勢が道を切り拓くはずだ。

 日本はパリ五輪でも、ブラジルに0-3となす術なく敗れている。ネーションズリーグ予選ラウンドでも同じセットカウントで負けた。しかし、決勝ラウンドはファイナルセットまでもつれさせ、最後まで食らいついていた。あと一歩、というところまではきている。

〈明るさ〉

 それは笑顔で振る舞うだけではない。ポジティブに向き合い、失敗を恐れず攻める姿勢とも言える。アクバシュジャパンはその気配が濃厚に漂う。だからこそ、劣勢でも敗色が出ない。

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