ラグビー日本代表で「最も美しいトライ」を決めた「和製カーワン」はボクサーに転身して東京オリンピックを目指した
語り継がれる日本ラグビーの「レガシー」たち
【第31回】遠藤幸佑
(中標津高→法政大→トヨタ自動車)
ラグビーの魅力に一度でもハマると、もう抜け出せない。憧れたラガーマンのプレーは、ずっと鮮明に覚えている。だから、ファンは皆、語り継ぎたくなる。
連載31回目は、鍛え上げた肉体とスピードを武器に「和製ジョン・カーワン」と呼ばれたWTB遠藤幸佑(えんどう・こうすけ)を取り上げる。2007年のラグビーワールドカップでチームが一丸となって決めた100m走トライは、世界のラグビーファンの度肝を抜いた。
※ポジションの略称=HO(フッカー)、PR(プロップ)、LO(ロック)、FL(フランカー)、No.8(ナンバーエイト)、SH(スクラムハーフ)、SO(スタンドオフ)、CTB(センター)、WTB(ウイング)、FB(フルバック)
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遠藤幸佑/1980年11月11日生まれ、北海道中標津町出身 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る WTBらしからぬ身長186cm・体重90kgの大柄な体躯を武器に、積み重ねた日本代表キャップは41。「和製ジョン・カーワン」遠藤幸佑を代表するシーンと言えば、2007年ラグビーワールドカップのウェールズ戦で、ほぼ100mをつないで決めたトライではないだろうか。
日本代表が過去にワールドカップで挙げたトライのなかで、「最も美しいトライのひとつ」と言われる。遠藤本人も「チームみんなのトライだった。一番印象に残っています」と振り返る。
前半19分、自陣ゴール前でNo.8箕内拓郎が相手にプレッシャーをかけると、ラックでボールがこぼれた。そのボールをLO大野均が拾って走り、SOブライス・ロビンスからCTB大西将太郎、CTB今村雄太へとつながる。そして最後は遠藤がスペースでボールをもらい、スピードを生かして右中間にトライを決めた。
「ボールが滑るなかでの難しいパスでしたが、日本らしいスピードのあるトライだった。トライしたあとにみんなが寄ってきてくれたのが、すごくうれしかった瞬間です」
著者プロフィール
斉藤健仁 (さいとう・けんじ)
スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。
























