「関田誠大ワールド」がさく裂した初年度のSVリーグ 「理想のセッターとは......」 (2ページ目)
【決勝は「僕も力が入っていた......」】
――セッター人生で最高のセットアップは?
「ないです。アタッカーが気持ちよく打ってくれたら、それがセッターの一番求めるところで。まずは打たせないと」
"関田の世界"は不完全だからこそ、完全になれるのだろう。構築しきっていない世界だからこそ、何にでも成り変わる。無限の選択肢からギリギリまで計算し、ベストの答えを出す。
SVリーグのチャンピオンシップ、ジェイテクトSTINGS愛知は関田が創り出した"領域展開"で、トリー・デファルコ、宮浦健人、リカルド・ルカレッリ・ソウザなど荒ぶるスパイカーたちが暴れ回った。東京グレートベアーズも大阪ブルテオンも、そうやって蹂躙した。レギュラーシーズンでは、多くの選手がケガなどで離脱し、苦戦を強いられていた。しかし選択肢が揃ったことで、関田ワールドがさく裂したのだ。
「正直、プレーオフ(チャンピオンシップ)で勝てば、(レギュラーシーズンの順位とあまり関係なく)オールOKになっちゃうんで。チームのコーディネートに時間がかかったシーズン、それが最後の最後に合わせられて、きちんと戦えている感じです。それぞれが役割を全うできるようになりました」
関田はそう言って割りきっていた。見事、決勝まで勝ち上がり、サントリーサンバーズ大阪との1試合目は、第1、第2セットを連取した時までは無双に見えた。しかし、3セット目をデュースで落とすと、4、5セット目でマッチポイントを取りながら、ものにすることができなかった。
「僕も力が入っていたところはあったかもしれません。なかなかうまく決めさせてもらえませんでした。いろいろとプレッシャーを感じながらやっていたんで......それで今日は、こうなっちゃう」
関田は自責の念で語った。実に彼らしい。
2戦目、流れを失ったSTINGSは、息を吹き返したサンバーズに飲み込まれていった。劣勢のなかで、関田はデファルコや宮浦だけではなく、ミドルブロッカーの髙橋健太郎や村山豪のクイックも駆使し、挽回しようとした。しかし、髙橋藍のサーブ、ドミトリー・ムセルスキーや小野寺太志のブロックに苦しみ、初代王者の座を逃すことになった。
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