男子バレー大塚達宣が語る初のイタリア・セリエA挑戦 ミラノの同僚は「自分を息子のようにかわいがってくれる」 (3ページ目)
【開幕前に負傷も「できる限りのことをやろう」】
――ただ、大塚選手はリーグ戦序盤をコンディション不良で欠場することになりました。
「レギュラーシーズンが開幕する、その週に腹筋の肉離れに見舞われました。練習でスパイクを打っている時にどんどん痛くなってきて。『これは筋肉痛じゃないな』と思って病院で検査したら肉離れだったという。あれほど大きなケガは久しぶりだったかもしれないです。いつも、ねんざしてもすぐ復帰するタイプでしたから」
――焦りなどはありましたか?
「開幕するまで、チーム内ではメンバーを固定せずに練習していたんです。『ひょっとしてスタメンに入れるかも?』と先走る気持ちはあったと思います。『自分が持っているものを出さなければ、コートに立てないままシーズンを終えてしまうかもしれない』という思いも少なからずありました」
――そんな状態でも、リーグ戦が始まってからはタイムアウト時やセット間などでチームの輪に入る様子が見られました。まだまだ言葉の壁もあったと思いますが......。
「輪に入ろうとしていましたし、チームメイトも自分を入れようとしてくれていました。ミラノは常々『全員で戦う』と言っているチームなので、いつもそういう雰囲気なんです。
メンバーは14人と、人数が多いわけではありません。ケガをしていてもベンチに入っていましたし、自分は何もできないからこそ、できる限りのことをやろうと考えていました。その姿を見て、仲間が『出られなくても、大塚はやってくれている。自分たちも頑張ろう』となってくれたら、それはチームへの貢献のひとつだと思いますし、みんなが『早く帰ってこいよ』と毎日声をかけてくれたからこそ頑張れましたね」
(後編::イタリアでの石川祐希との対戦 大塚達宣が感じた「日本代表の時とはまた違う」振る舞いや表情の意味>>)
【プロフィール】
大塚達宣(おおつか・たつのり)
2000年11月5日生まれ、大阪府出身。ミラノ(イタリア)所属。身長195cm。アウトサイドヒッター。公益財団法人日本バレーボール協会のJVAエリートアカデミー生として才能を発掘され、中学時代はパンサーズジュニアで全国制覇、洛南高校時代も3年時に春高優勝を果たした。早稲田大学でも下級生時からレギュラーを務め、日本一を経験。日本代表にも名前を連ね、五輪には東京大会とパリ大会の2度出場している。大学在学時から所属していたパナソニックパンサーズ(現・大阪ブルテオン)を昨季限りで退団し、2024-25シーズンはイタリア・セリエAのミラノでプレーする。
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