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古賀紗理那は「正直、まだまだできる......」バレーボール女子日本代表強化部長が伝えたい感謝 (4ページ目)

  • 高井みわ●取材・文 text by Takai Miwa

【次世代を担う若手の注目は?】

ーー2024年は、若い選手が戦うアンダーエイジカテゴリーでいくつか国際大会がありました。各大会をご覧になられて、強化部長として感じたことがありましたら教えてください。

 中国で開催されたアジア東部地区選手権は私も現地に視察に行ってきました。日本からはユニバーシアード代表が出場しました。2025年、「FISUワールドユニバーシティゲームズ」があるので、ユニバの選手たちにも海外での試合経験を積ませたいという目的がありました。

 他のアンダーエイジカテゴリーもそうですが、中国になかなか勝てないのは課題ですね。予選では勝っても順位決定戦で負けたりと......。中国は人口が多いから、日本に優秀な選手がひとりいたとすれば、向こうは10倍いるのではないでしょうか?(笑) ですから、中国も今、アンダーエイジカテゴリーを含めて強化していると思います。高身長の選手もたくさん発掘されていますね。

ーー2023年の「ワールドユニバーシティゲームズ」も中国に負けて銀メダルでした。

 シニア代表経験のある宮部愛芽世、佐藤淑乃の両選手が決勝戦でそれぞれ16得点挙げましたけど、最後に勝ちきれなかった。予選ではフルセットで勝った中国に決勝で負けました。やはり高さ慣れしないと面食らう部分があるのではないかと思います。

ーー秋本美空選手は高校生ながらU20代表のカテゴリーで大会に出場しました。ロンドン五輪銅メダリストの大友愛さんの娘ということで注目度も高いと思いますが......。

 身長もお母さんを追い抜いたようですね。まだ細いから、そこまで大きく見えないんですけど。185センチという身長は、やはり日本の将来にとって大事な選手です。今、高校3年生ですが、共栄学園ではキャプテンをやっているということもあって、人間的にも成長するとともに、プレーも成長してもらって、近い将来、代表の主力になってほしい選手です。

ーー古賀紗理那さんのように身長があって、スパイクやサーブだけでなく、レシーブやブロックもできるオールラウンドなサイドアタッカーに成長することが期待されますね。

 古賀も新人の頃からサーブレシーブがすごく優れていたかというとそうではなく、努力でうまくなったので、そういった意味では秋本はそれに近づける素質があり、ポテンシャルもあると思います。

ーー他に中村さんの視点で見て、アンダーエイジカテゴリー代表で注目選手は?

 ポテンシャルという意味では、2024年に旭川実業高校からクインシーズ刈谷に入った笠井季璃選手。175センチと決して大きくはありませんが、春高バレーでもキャプテンシーを発揮して、チームを引っ張っていました。バレーは個人競技ではないので、プレーで中心となりつつ、チームを支え、引っ張っていく。そういう力のある選手がキーマンになってくるんじゃないかなと思いますね。バレーボールはチームスポーツなので、ひとつにならないと勝てないですから。

 現時点ではまだまだ成長途上ですけど、環太平洋大学4年の山地梨菜選手(※大学2年から埼玉上尾でもプレー)も楽しみな選手です。アジア東部地区選手権でも、優勝すれば彼女は最優秀選手賞を獲得できたのではないかなと思います。これから経験を積んでほしいですね。あと、高校生では前回の春高でMVPの活躍をした就実高校3年の福村心優美選手にも期待しています。

ーー高校生では東九州龍谷高校の忠願寺風來・莉桜姉妹も注目されていますね。妹の莉桜選手は181センチの身長で守備もこなしています。姉の風來選手はAstemoリヴァーレ茨城に内定が発表されていますし、姉妹で出場する春高も楽しみです。姉妹のお父さんが元Vリーガー、日本代表経験もある日本製鉄堺ブレイザーズの高野直哉選手がいとこと、バレー一家で話題性もありますね。

 莉桜選手は年代の枠を超えて、ひとつ上のU18のカテゴリーに入れました。私が莉桜選手を最初に見たのはJOCジュニアオリンピックカップだったと思います。大分県代表で出場した彼女が中学2年の時。その時からいい選手だなと思っていました。その後も順調に成長し、アンダーカテゴリーの代表合宿にも参加してもらいました。

 このように若い世代に優秀な選手もおり、明るい材料も多くありますので、また次のアンダーも含めて、指導者にはいい形で育成していただいて、これからも下の世代からの強化を継続していけたらと思っております。

終わり

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【プロフィール】
中村貴司 なかむら・たかし 
日本バレーボール協会女子強化部長。1966年生まれ。早稲田大学卒業後、1988年に日本電気株式会社(NEC)入社し、NECブルーロケッツでプレー。現役引退後、NECレッドロケッツのゼネラルマネージャーなどを経て、2021年から女子強化委員長を務め、2024年11月より現職。

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