【ハイキュー‼×SVリーグ】広島サンダーズのフェリペ・モレイラ・ロケは日向翔陽に勇気をもらい、ブラジル代表でも活躍
広島サンダーズ フェリペ・モレイラ・ロケ
(連載15:Astemoリヴァーレ茨城の雑賀恵斗は「王様」影山飛雄を見て思う「セッターはスパイカーの気持ちを汲み取ってこそ」>>)
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サッカー大国、ブラジルで生まれただけに、幼い頃に立っていたのはバレーボールコートではなかった。
「サッカーではいい選手じゃなかったね(笑)。小学校の頃はGKをやっていたんだけど、あまり向いていませんでした。ストライカーをやっていたら? いや、体の大きさを生かすんだったら、バレーでよかったよ」
フェリペ・モレイラ・ロケは、そう言って大きな目をくりくりとさせた。バーリトゥード(「何でもあり」という意味の総合格闘技)もやっていただけに、鍛えられた大きな体躯は迫力満点だが、少しも周りを威圧しない。柔和で、謙虚で、誠実な印象だ。
「バレーは15歳で始めました」
フェリペは言う。212cmの身長は天分だろう。
「始めるタイミングが遅かったので、うまくなるためには周囲の倍以上の練習をしなきゃいけない、と思っていました。最初の3年間は、『ノー グッド』って怒られてばかりいましたね(苦笑)。アタックは、自分が打ってもアウトになるかネットにかかってしまったので、対戦相手からは『ブロック要らないぞ』という野次も飛んできて......」
しかし、彼はハードワークが実を結ぶことを信じていた。だからこそ、人気バレー漫画『ハイキュー‼』の世界観にハマったという。
「主人公である日向(翔陽)には共感しました。日向にはジャンプ力が、自分には高さがありましたが、それだけではダメ。足りなかったものをどうにかするため、何倍も努力が必要になるんです。だから、日向の成長には勇気づけられましたし、自分と重なるものがありました。自分は速く動けなかったけど、少しでもできるようになって成長したので」
ブラジルでは強烈なサーブとスパイクを引っ提げ、7チームを渡り歩いてきた。2019年にはブラジル代表としてワールドカップ優勝、2022年には世界選手権で銅メダル。南米有数のオポジットとして、今シーズンは日本の名門チームに迎えられることになった。
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。