パリオリンピック開幕直前、西田有志が滲ませた自信「勝ちきれる準備はしてきた」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 西田から放たれる言葉は、とにかく前向きだった。

「会場が独特? いろんな国の照明でプレーしてきたので、問題ないです」
 
 1本のサーブを切り取っても、打つたびに研ぎ澄まされていく。それは相手に適応し、凌駕する構造そのものだろう。たとえ1本、2本拾われても、最後には勝つ、と言いきれる強靭さだ。

 7月27日、現地時間午前9時(日本時間午後4時)。ドイツ戦で、パリ五輪の戦いは幕を開ける。

「(ドイツ戦が翌日早朝の試合のため)開会式に出られない? いや、試合をしに来ているんで」

 西田はそう言って、対決を待っていた。口の端に静かな熱が漂う。新しい時代の息吹だ。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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