石川祐希との食事は「めちゃくちゃ緊張」中央大1年・笹本穏がイタリアで痛感したこと (3ページ目)

  • 坂口功将●取材・文 text & photo by Sakaguchi Kosuke

――笹本選手は中学3年生時に「JOCジュニアオリンピックカップ全国都道府県対抗中学大会」でJOC・JVAカップ(いわゆる最優秀選手賞)に選ばれた際、「将来の夢は石川選手のように海外で活躍すること」と口にしていました。やはり憧れの存在ですか?

「そうですね。小学生の頃に、春高バレーで活躍している姿を見て惹かれました。直接対面できたのは、先ほども話した中央大のバレーボール教室でしたが、"雲の上の存在"でしたね。試合も拝見しました(現地時間2月18日のヴェローナvs.ミラノ)。石川選手が5本のサービスエースを決めて、ミラノがストレート勝ちを収めたのですが、『何本、エースを奪うんだろう?』と驚きました。プレーの安定感がすごかったです」

――食事をした際、石川選手とどんな話をしたんですか?

「実は緊張しすぎて、何を聞いたのか、どんな話をしたのか全然覚えていないんです......。唯一覚えているのは『大学時代に何をしたらいいですか?』と質問したことと、それに対して石川選手が『目指すものを持って、そこに向かって取り組むことを考えたらいい』と言っていただいたことです。中央大に進学して、これまでは"大学での目標"しかありませんでした。その先は考えていなかった、というのが正直なところです」

――その上で、目下の目標は何になりますか?

「まずは『大学で出場機会を得ること』ですね。1年目の終盤はオポジットもやっていましたが、やはりアウトサイドヒッターで勝負したい気持ちがあります。ただ、メンバーを見ると、3年生の柿崎さんや2年生の坪谷悠翔さん、同期の1年生には舛本颯真がいて、みんな安定感があります。

 僕の武器は高さ(190cm)だと思いますが、それだけではレベルが高い中央大でレギュラーになることは難しい。それに、高さで敵わないことは、イタリアで十分に味わっている。そうした経験はとても大事だと思いますし、その中でアタック力を磨いていきたいです」

――イタリアのバレーボールに触れ、"雲の上の存在"だった「石川祐希」という選手との距離は変わりましたか?

「正直、遠くなりましたね。『この世界で通用しているのか』と思わずにはいられません。ですが、僕も海外派遣が終わるまでにこちらのバレーに慣れて、成長して帰国したいです」

<選手プロフィル>
笹本 穏(ささもと・やすき)

2004年5月25日生まれ、愛知県出身。中央大学1年生。190cmのアウトサイドヒッター。高豊中学校3年生時に「JOCジュニアオリンピックカップ」第33回全国都道府県対抗中学大会でJOC・JVAカップ、オリンピック有望選手に選出され、同年度の全日本中学生選抜入りを果たす。地元の名門・愛知工業大学名電高校を経て、関東大学1部の中央大学に進学。最高到達点は335cm(大学発表)だが、ヴェローナで測定した際には340㎝を記録した。

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