新鍋理沙「気持ちが折れた」。失意の代表辞退から2年、全日本に戻った理由 (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari

 トスが上がってから移動する相手のリードブロックに対抗するには、セッター以外の選手がなるべく多く攻撃に入ることが、相手の始動を遅らせる上で有効ではある。しかし新鍋は、「スパイクを打ったあとのフォローも必要なのではないか」と考えていた。

「たとえば、前衛の選手がワンレグ(片足踏み切りでの移動攻撃)で走った時などに、フォローは誰がするのか、という問題もありますよね。スパイカーとしては、少なくとも私は後ろに誰かいてくれたほうが思い切ってスパイクを打てるんです。攻撃の選手がみんな助走に入って、そのフォローがいなくなってしまうのはどうなのかな、とも思いました」

 チームの最高の形を模索し続ける"中田ジャパン"は、昨年に行なわれたワールドカップバレーでも5位。目標に掲げていた「金メダル獲得」に暗雲が立ち込めた。

 2019-20シーズンでVリーグ3連覇を狙った久光も苦しい戦いを強いられ、7位と低迷。この頃、長く代表やVリーグで戦い続けてきた新鍋の体は悲鳴を上げていた。それでも代表には選出されたが、最大の目標だった東京五輪が延期されたことで、新鍋は決断を下すことになる。

(第6回につづく)

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る