「奇跡のチーム」で史上初の高校6冠。石川祐希が最後の春高で見せた輝き (3ページ目)

  • 高井みわ●取材・文 text by Takai Miwa
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 星城が2セットを先取し、そのままの勢いで走り抜けるかと思われたが、第3セットは東福岡のペースで試合が進んで一時は5-12と7点差がついた。しかし石川がブロックの上から打ち抜くスパイクを決めると、星城がじわじわと東福岡を追い詰めていく。セッターの中根は石川にボールを集めながら、神谷のクイックも効果的に使う。さらに武智のブロックや川口のスーパーレシーブも飛び出すなど、ついに21-21の同点に追いついた。

 悲願の"絶対王者超え"を目指す東福岡も簡単には譲らない。試合がデュースに持ち込まれ、エース同士の打ち合いになった。白熱のラリーが続き、両チームとも30点を超える死闘になったが、最後はラリーから武智がスパイクを決めて34-32で星城が勝利した。

 決勝に駒を進めた星城は鹿児島商もストレートで下し、公式戦99連勝で2大会連続優勝を決めた。攻守で大活躍した石川は2年連続で最優秀選手賞を受賞。石川は、優勝記者会見で「周りのサポートがあったから自分たちのパフォーマンスができた」と話した。竹内監督や保護者への感謝の気持ちはもちろん、レギュラーメンバーを支えた控え選手たちなどへの思いが、このひと言に詰まっていた。

 この年の春高の映像を見直すと、石川のバレーセンスが随所で発揮されていることがわかる。打点が高くスピードがあるスパイクは、相手ブロックの完成前、あるいはブロックの上から打ち抜かれていた。守備の技術も高く、ユースカテゴリーで永露とツーセッターを組んだこともあって、ボールさばきも巧さが増していた。

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