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サオリン、カナ...世界と戦える選手を
育てる下北沢成徳・小川監督の教え (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari

 このフィジカルトレーニング不足は、日本バレー界全体の問題でもある。全日本の試合でも、日本の選手が海外選手にパワー負けする場面をよく目にするが、小川監督からすれば、それは当然だという。

「日本の選手が他の国よりも体を鍛えてないからです。『国内で通用すればいいじゃないか』と言われてしまえばそれまでですが、諸外国のユースやジュニア選手と比べると、トレーニング不足が目立ちます。それは、『とにかく技術を』という日本の練習スタイルに起因するのかなと。特に10代後半は、体の成長に合わせたトレーニングが必要で、その意識づけをすることも大切だと思っています。

 バレーがちょっとくらい下手でも、体力負けしないことが選手の将来にとっては大事。そうしておけば、選手たちの技術が伸びた時に優位に戦えます。高校を卒業してからも世界を相手に活躍してほしいと願っているので、今の指導スタイルに落ち着きました」

 この考え方は、ボールを使った練習や戦術面にも貫かれている。成徳バレーは、高くてゆっくりとしたオープントスを主体としたバレーをする。低く速いトスに見慣れていると、そのトスは噴水のように見えるが、実は、高くて遅いボールのほうが決めるのは難しい。速いトスばかり打っているとそれにしか対応できなくなるのに対し、オープントスをしっかり決める技術が身についていれば、後からいくらでも応用が利くという。

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