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【男子バレー】JT創部84年目の初V。チームを変えた3人の男たち (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

 悲願の初優勝を成し遂げられた要因を挙げるなら、「周囲の(悲願達成への)期待を受け、24時間バレーボールのことを考え続けた」ヴコヴィッチ監督のシンプルな「余分なことをしない」バレーと、昨年サントリーから移籍してきた越川主将のキャプテンシー、昨季正セッターの座を奪われたが今季それを奪い返した深津のトスワーク、そして低迷したチームをなんとしてでも強いチームに作り替え、悲願達成のために思い切ってヴコヴィッチ監督と越川を獲得する手を打った栗生澤淳一GMのマネジメントだろう。

 ヴコヴィッチ監督については、リベロ酒井大祐がこう述べている。

「やっているバレーはとてもわかりやすくて、余分なことはするなと指示される。(リベロで)後ろを守っている自分からすると、飛んでくるボールは全部追いたくなる。だけど、そこは割り切って、来たボールを上げることに集中するように言われて、結果としてその方がゲームが上手く回ることがわかりました」

 越川が昨年入ってきて、チームは激変したと、チームメートは口にする。深津や小澤翔は今季のリーグ途中で「優さんは確かにきついことも言うけど、納得がいくことを言ってくれる。それに何より、プレイで見せてくれるから説得力がある。だから、結構すぐにチームに馴染んでましたよ。今は、『いてくれるだけでいい』って感じです」と越川のキャプテンシーに太鼓判を押していた。昨季のレギュラーセッター井上俊輔は「困ったら全部、オレにあげろ」と言ってくれる頼もしいキャプテンだったと証言する。ヴコヴィッチ監督が技術面での改革をしたならば、越川はメンタル面での改革を実現させたと言っていい。

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