2015.05.13

【バレー】佐野優子が現役引退。世界一のリベロが残したもの

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

 5月5日、大阪市港区で行なわれた黒鷲旗大会のトヨタ車体戦をもって、ロンドン五輪銅メダリストの佐野優子(35歳・デンソー)が引退した。小さな身体で強烈なスパイクに飛びつき、何度となく全日本女子の危機を救ってきた。

 エース木村沙織は過去にこのように言っていた。「リョウさん(佐野のコートネーム)が隣にいるだけで、安心感が違うんです。たとえば、次の1点をどうしてもとりに行きたい。そんなときに『お願い』って一声かけると、自分はスパイクに専念できた。本当に頼りになるリベロでした」

黒鷲杯で、戦況をコートサイドから見守るデンソー佐野優子

 ロンドン五輪のチームメイトで同じく引退を表明した井上香織(32歳・デンソー)が試合直後から泣き崩れていたのに比べると、さっぱりと笑顔で現役最後の日を迎えた佐野だった。

「最後は泣くんじゃなくて、笑顔で終わりたいと思っていたので。今はすっきりしています」と、優しい顔に似合わない負けず嫌いなところをちらりと見せながら、現役生活を振り返った。

「いいバレー人生を送らせてもらったと思います。この身長で、リベロというポジションがなかったら、こんなに長く現役をやれることもなかったし、全日本に選ばれることも、ましてやオリンピックで銅メダルを取ることもできなかったと思います」

 佐野の身長は159cm。バレー選手としては非常に小柄といっていい。北嵯峨高校(京都)時代の佐野を見て、「この子はレシーブがすごく上手いから、うちの伝統の拾ってつなぐバレーにはぴったり」といって名門ユニチカにスカウトしたのが、「女眞鍋」という異名をとる技巧派の全日本セッターだった中西千枝子だった。