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【バレー】創部84年目の初優勝へ。JT栗生澤GMのチーム掌握術 (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 木村正史●写真 photo by Kimura Masashi

――JTサンダーズの悲願「初優勝」について、どうお考えですか?

「創部が1931年。84年という歴史から、OB・諸先輩方からの激励が期待やプレッシャーとして伝わってきます。ものすごい重圧とも取れます。84年間優勝していないチーム。それは必ずついて回るんですね。監督への条件付けも、脈々と続いたこの歴史が、そうさせたのかもしれない。84年の歴史というのは、成績が良くないときは、『呪縛』でもあるんだろうかと考えた時期もあります。社内では試合への動員をお願いしていますが、強くなれば、それも自発的に増えますし、JTの結束力は抜群です。それから、勝てば『応援に行こう』と関心も高まりますよね」

――優勝することで、何か変わることはあるでしょうか?
 
「オフシーズンに、バレー教室を行なって延べ人数3千人ほど、指導をさせてもらっていますが、その時に6位のチームが行くのと、準優勝のチームが行くのと、反応が違うでしょう? 同じ事をやっても違うでしょう? 優勝したらもっと違うと思うよって選手に話したことがあります。

 私がオリンピック出場して帰国後、『出場して何が変わりましたか』って聞かれましたけど、最初に私が変わったんじゃないんですよ(笑) ただ、周囲の反応が変わるんです。それを見て、聞いて、肌で感じて知らないうちに自分が変わって成長させてもらった。リーグ優勝でも同じ気づきがきっとあると思うんです」

――昨季獲得した越川選手とは、浅からぬ縁がありますよね。彼は大学進学の考えを覆し、サントリーに入社しました。できるだけ早くレベルの高いところでやりたいからとの理由でした。あの時、進学が決まっていたのが、当時栗生澤さんが監督を務める中大でしたね。

「あの時は、チーム(大学)を考えると残念で悔しかった。でも、いつまでもそれを引きずっていてもしかたがない。それに、私の中大の監督任期も決まっていた。だから、彼があのまま進学しても、そこで縁は切れていたかも知れません。状況的には今来てくれて助かったなと。去年、彼と食事に行って、『そりゃあね、あの時は俺も残念だったけど、今こうやって12年越しに同じチームにいることが嬉しいよ』っていう話をしました」

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