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【女子バレー】木村沙織、「壁」を打ち破ったエースの力 (3ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

“サオリン”という愛称で愛されてきたが、人気選手ゆえの苦悩もあった。そんな時、支えてくれた人たちが、ロンドンでも彼女の背中を押してくれたのだ。

 だが現実は厳しかった。死闘から2日後の準決勝。日本は北京五輪金メダルのブラジルに完敗した。

 立ち上がりはよかった。木村の強打がコートに突き刺さる。だが、徹底マークの二枚ブロックに徐々につかまっていく。ストレート負け。悔しい。これで76年モントリオール五輪以来の決勝進出はなくなった。

 木村は涙をこらえた。

「でも、まだメダルのチャンスはある。全員バレーで最後に勝って終われたらいいなと思います」

 8月11日。運命の3位決定戦。相手は宿敵・韓国。好サーブでレシーブを崩し、韓国のエース、金軟景(キム・ヨンギョン)を苛立(いらだ)たせた。木村が拾い、迫田さおりが打ちまくった。日本は28年ぶりのメダルを獲得した。

「今まで積み重ねてきたものが結果になった。でも、まだまだだなと思います。個人として、もっと安定した選手になりたい」

 3度目の五輪が終わった。そして木村は新たな旅路につく。秋からは世界最高峰のトルコリーグのクラブチームに移籍する。その前に、横山さんのお墓参りに行き、メダルの報告をするつもりだ。

『Sportivaロンドン五輪・速報&総集編』(2012年8月17日発売号)より転載

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