錦織圭が「試合直前で棄権」を繰り返すのはなぜか 西岡良仁は「『動いてなんぼ』のテニス」が原因と推察 (3ページ目)
【不可能を可能にしてきたが...】
ケガからの復帰のタイミングを見極める難しさは、今回の全豪オープン予選2回戦で、股関節の痛みのため途中棄権した西岡良仁も実感しているという。
「圭くんに直接確認したわけではないので、想像するしかないですが」と断ったうえで、西岡は錦織の状況や胸中を推察しつつ、自身の経験を次のように語った。
「錦織選手も僕も、『動いてなんぼ』のテニスなのが、ひとつ難しいところ。
肩のケガひとつとっても、先生とも話しながら、こういう運動連鎖だったら痛みが減るとか、こういうリハビリをやっていきましょう、と決めていきます。それはすごく理に適っているし、もちろん理解もできる。
ただ、どうしても試合になれば、高く跳ねる強烈なボールを頭の上で処理しないといけない場面も出てくる。患部に負担をかけないための動きや打ち方は理解できるけど、試合では厳しい瞬間がどうしても出てしまうんです」
練習では負荷の低い動きで対応できても、テニスという再現性の少ないスポーツでは、実戦になれば想定外の動きを反射的にしてしまうだろう。
ましてや錦織は、類(たぐい)まれなる身体表現力と感性で、意外性を体現してきた選手だ。練習と実戦との乖離がひときわ大きいことは、想像に難くない。大会会場を訪れ、実戦に近い練習を経たうえで最終的に欠場を決断せざるを得ないのは、そのような背景からだろう。
前述したように、ここから3月いっぱいまでに、錦織がディフェンドしなくてはならないポイントは多い。伝え聞くところによれば、 3月に北米で開催される大会の出場は視野に入れている模様。とりわけ3月中旬に開幕するATPマスターズ1000のマイアミオープンは、錦織のエージェントであるIMGが開催権を持つ大会。ワイルドカードを得られる可能性は高いだろう。
これまで幾度も、苦境でこそ光を放ち、不可能を可能にしてきたのが、錦織圭というアスリートだ。その奇跡的な景色が、再び見られるのか。あるいは......。
今までたくさんの夢を見させてもらった者たちが願うのは、本人が納得できるまで走りきってほしい、ということのみだ。
著者プロフィール
内田 暁 (うちだ・あかつき)
編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。
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