錦織圭が「試合直前で棄権」を繰り返すのはなぜか 西岡良仁は「『動いてなんぼ』のテニス」が原因と推察 (2ページ目)
【300位まで落ちる可能性も】
現時点の錦織の世界ランキングは237位。グランドスラムの本戦出場が100位、予選は200位前後が当落線となるので、グランドスラム出場は難しくなる。これまでは、公傷を負った選手の救済処置である「プロテクトランキング」を活用してきたが、現在、錦織はこのランキングも保っていない。
昨年8月のシンシナティ大会を最後に公式戦から離れた時、あるいは錦織には、既定の6カ月以上欠場してプロテクトランキングを得る選択もあったかもしれない。ただ、昨年11月の慶應チャレンジャーに出場した時、錦織は「そこまで待つのは長すぎたので、考えていなかった」と明言した。先々の選択肢を担保するよりも、目の前の可能性に賭けることを、今の彼は選んだのだ。
錦織が選んだその道は、もちろん困難を極める。テニスのランキングポイントは、獲得後に1年経つと消滅する。つまりあと2週間すれば、昨年の全豪オープンで得た50ポイントを失うことになる。そうなればランキングは、300位近くまで下降するだろう。
この先の重要なポイントディフェンド(守り)の機会となるのが、 3月の北米シリーズだ。
昨年の錦織は、3月上旬のインディアンウェルズATPマスターズ1000で30ポイント、翌週のアリゾナ州開催のATPチャレンジャーでベスト4入りし、50ポイントを獲得している。純粋にこれらのポイントを失うとなれば、ランキングは400位近くまで下降する可能性もある。
いかに実績のある選手であろうとも、ランキング上昇への近道や、一発逆転のギャンブル性がないのが、テニスという競技の非情さであり誠実さだ。ただ、唯一の例外的な近道が、ワイルドカード(主催者推薦枠)である。これは文字どおり、大会の主催者が人気選手や、将来有望な若者達に与える招待枠だ。
錦織の実績と知名度があれば、ワイルドカードを得られる可能性は高い。ただ、ひとりの選手がワイルドカードを得られるのも、1シーズンあたり5回が上限。その限られた機を生かし、グレードの高い大会で大きくポイントを稼ぐというのが、返り咲きへの道だろう。
2 / 3

