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石井琢朗&プロテニスプレーヤー石井さやか・父娘対談《後編》「いつまで経っても『お父さんの娘』の立場じゃ悔しいじゃないですか」 (6ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【父の「座右の銘」に娘の反応は...】

 対談の終わりに、琢朗氏に「座右の銘」をうかがうと、『今が大切』という言葉が瞬時に返ってきた。

「へー。初めて知った」

 帰り支度をしていたさやかさんが、やや意外そうに、つぶやく。

「今は、まだわからないかもね」

 自分に問いかけるようにうなずく琢朗さんは、もう一度、言った。

「今は、まだわからなくていい」──。

 バッターボックスに立つ時、ジムで汗を流す時、父が心に刻み大切にしてきた、この言葉。その真意を娘が理解した時、本人が切望し、そしておそらくは当人以上に父が心待ちにする、「石井さやかの父親は、プロ野球選手だった」と言われる日が、きっと訪れる。

<了>


【profile】
石井琢朗(いしい・たくろう)
1970年8月25日生まれ、栃木県佐野市出身。1988年のオフにドラフト外で足利工高から横浜大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)に投手として入団。1992年から内野手に転向し、最多安打2回、盗塁王4回に輝く。2006年に2000安打を達成し、2008年に広島東洋カープに移籍して2012年に現役引退。指導者として広島→ヤクルト→巨人でコーチを務め、現在は横浜DeNAチーフ打撃兼走塁兼1塁ベースコーチ。身長174cm、体重82kg。

石井さやか(いしい・さやか)
2005年8月31日生まれ、東京都渋谷区出身。プロ野球選手の石井琢朗の次女として生まれ、5歳からテニスを始める。ジュニアで数々の好成績を収め、2022年11月の国別対抗戦ビリージーンキングカップで初の日本代表に選出される。2023年全豪オープンジュニアでは女子単複ベスト4となり、同年3月にプロ転向。2024年4月の富士薬品セイムスウィメンズカップでプロ初優勝を果たす。ユニバレオ所属。身長175cm、体重68kg。

著者プロフィール

  • 内田 暁

    内田 暁 (うちだ・あかつき)

    編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。

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