石井琢朗&プロテニスプレーヤー石井さやか・父娘対談《後編》「いつまで経っても『お父さんの娘』の立場じゃ悔しいじゃないですか」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【テニスがやりたいのに、なんでこんな練習を...】

 正直に言うと僕自身、最初はテニスをナメていたんです。ところが実際にはスケジュールもシビアだし、ひとりで海外を転戦しなくてはいけないなど、ジュニアの時点でも『過酷だな』とすごく感じたんです。

 そのなかでも、野球とテニスで通ずる部分もけっこうあるなと思いました。メンタル的な部分であったり、技術はわからないながらも、ある程度、戦略的な部分も客観的に見ることができる。

 動きで言うと、すごく似ていると思ったのが、野球の守備なんです。特に僕が内野手だったのでそういうふうに見るのですが、テニスでフォアハンドを打つ時のボールへの入り方や足の運びは、ほぼほぼ、内野手の動き。

 その動きに、ボールを打つ作業が入ってくるというイメージなので、見ていてすごく面白いなと。逆に、テニスの動きや練習を野球に取り入れられるんじゃないかな、とも思いました。さやかとは、よくキャッチボールをやったよな?」

さやか「うん、トレーニングも一緒にやった。キャッチボールや、メディシンボールを投げたり。たぶん野球でよくやるメニューなんだと思うけれど、ラダー(梯子)を使ったフットワークの練習や、階段でアジリティを上げるトレーニングとか。

 あとは、股割り? 野球の動きでこんな姿勢(と言って足を左右に開き腰を深く落とす)でサイドステップしたり、ワンバウンドでボールを取ったり、素早く反応してダイレクトでキャッチしたり」

── それらはまさに、野球の守備用トレーニングの応用ですか?

琢朗「そうです、そうです。小さい時はウェイトトレーニングではなく、自重を使っての下半身強化や瞬発系の動きが大事だろうなと思ったので、野球でやっているトレーニングをさせていました。まだ、やらされている段階だったと思います」

さやか「完全に、やらされてました(笑)。走るのは大っ嫌いだったので、もう嫌々ながら。『私はテニスがやりたいのに、なんでこんな練習しなきゃいけないの』っていう感じでした」

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