大坂なおみ、全仏オープン初戦の作戦を思わずポロリ。「なんでこれをしゃべっちゃったのかしら」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

大坂なおみが有利と語る理由

 ただ、「グランドスラムでは、ケガを抱えながらいいプレーができたことも多い」と述懐する。「失うものがないと思えることが、いいのかな」というのが、大坂の自己分析だ。

 それらの状況も踏まえたうえで、大坂は、初戦で当たるアニシモバを「嫌な相手ではない」と言った。

 現在20歳のアニシモバがテニス界にその名を広く知らしめたのは、3年前の全仏オープン。17歳にしてベスト4に躍進した時だった。

 キャリアのハイライトは赤土の上に輝くが、プレースタイルそのものはハードコート向きの選手だろう。ベースラインから下がらず、低い軌道の強打を広角に打ち分けるのが持ち味。先の全豪での大坂との一戦は、直線的なショットがネットすれすれを行き交い、驚異のハイペースな打ち合いとなった。

 その全豪での試合後に、大坂はアニシモバの打つボールの感想を次のように語っている。

「すごく強かったり、重いというのも違うけれど......ものすごく早く返ってくるので、備える時間がなかった」

 力でねじ伏せようと強打すればするほど、鋭いカウンターでウイナーを奪われる。その技量に、大坂が拍手を送る場面も見られたほどだ。

 この全豪での敗戦後の会見で印象に残っているのは、大坂の清々しいまでの表情だった。

「今日の試合から多くを学んだ。今はとてもポジティブな気分」

「彼女みたいに、自分を成長させてくれる選手と対戦できたのはうれしいこと。彼女のようなリターンを打てるようになりたいと思ったもの」

 口にするコメントにも、明るく前向きな言葉が並んだ。持てる力を出し切ったうえで、何が敗因かはわかっている----そんな自信があるからこその、相手への賛辞にも響いた。

 そのアニシモバとの全仏での再戦を踏まえ、大坂は「クレーでの対戦のほうが、私には有利かも」と言った。

「私のほうが重いボールで攻められると思うから」

 そこまで言って大坂は、「なんでこれをしゃべっちゃったのかしら、私の作戦なのに」と笑った。

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