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大坂なおみ、現在38位でも「来年には再び世界1位」の自信。今季後半戦でランキング急上昇の青写真

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 朝からそぼ降る雨がコートを濡らし、ふだんは鮮やかなオレンジ色の赤土が鈍い茶色味を帯びていた。

 見た目にも重いクレーコートは、物理的にもテニスボールを重くする。ただ、その重いコンディションは、大坂なおみにとっては有利な状況だったかもしれない。

「重いボールが打てる分、クレーでの対戦のほうが私はやりやすいと思う」

 アマンダ・アニシモバ(アメリカ)との試合を控え、大坂は希望的観測を込めてそう語っていた。

大坂なおみは全仏初戦敗退も「楽しめた」と振り返る大坂なおみは全仏初戦敗退も「楽しめた」と振り返るこの記事に関連する写真を見る 望んだ準備ができぬまま全仏オープンを迎えた大坂にとって、曇天と小雨のなかスタンドに詰めかけた多くのファンは、確実に明るい材料だっただろう。

 約2週間前にアキレス腱を痛めたため、全仏前にクレーコートで積んだ実戦はわずかに2試合。しかも初戦の相手は、直近の対戦である全豪オープン3回戦で死闘の末に敗れた相手だ。

 加えて全仏オープンは昨年、大坂が"会見拒否"と"うつ告白"により、2回戦を戦わずして去った大会。

「正直に言うと、ファンがどんな反応をするのか恐れている」

 大会前には、抱える不安を打ち明けていた。

 大坂対アニシモバ戦の舞台には、会場2番目の規模を誇る「コート・スザンヌ・ランラン」が用意される。種々の不安と自身への期待が交錯するなか、大坂のサービスで試合の幕が切られた。

 その第1ゲームをいきなりダブルフォルトで落としたのは、緊張と試合勘の欠如ゆえ。特にサーブは「アキレス腱の影響がもっとも大きく、最後まで練習できなかったショット」。全豪オープン時にアニシモバのリターンに苦しめられた生々しい記憶も、サーブで重圧を覚えた要因だった。

 ただ、この苦しい立ち上がりが、判官贔屓を好むフランス人の気風を刺激したかもしれない。

 試合が進むにつれて、大坂に向けられる声援はボリュームと数を増していく。あとに大坂も「観客には本当に感謝している。エネルギーをもらったし、負けたけれど楽しめた」と振り返った。

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