伊達公子が日本テニス界に切実な危機感。「変えるなら今。これがラストチャンス」 (5ページ目)
私ひとりの力では、大きなものを動かすことはできない。でも組織として、日本女子テニスのためになることをできるなら、意味のあることだなと思ったんです。言葉は悪いですが、組織の力を利用して協会と力を合わせ、結果テニス界がよくなれば私はハッピーですから」
伊達が繰り返す、「ラストチャンス」の言葉は重い。その真意とは?
「90年代に、男子には(松岡)修造さん、女子には私がいて、日本テニスがあれだけ強い時代があった。それなのに、私たちが辞めたあとは何も残らなかったわけですよね、ある意味。
たまたま錦織圭が出てきて、そのあと大坂なおみも出たことで、やっとまたテニス人気が高まりましたが、錦織君も年齢やフィジカル的に難しくなり、なおみちゃんにしてもメンタルヘルスの問題などを打ち明けている。そのなかで10年後に日本のテニス界はどうなっているんだろうと考えた時、私は危機感しかない。
今のうちに形を作っておかないと、本当にまた、一度犯した失敗を繰り返すことになるという思いが、あるんです。今まだふたりがいるうちに、せめてちゃんとした改革のベース作りをやっておかないと、日本のテニスが世界に取り残されると本気で危惧しているだけに......」
そして伊達は、もう一度言った。
「これが、ラストチャンスだと思っています」
【Profile】
伊達公子(だて・きみこ)
1970年9月28日生まれ、京都府京都市出身。6歳からテニスを始め、高校卒業後の1989年にプロ転向。1994年、日本人女子テニス選手初の世界トップ10入りを果たす。1996年に一度引退するも、2008年に現役復帰。2017年までプロ選手としてプレーを続ける。WTAツアー通算シングルス8勝・ダブルス6勝、WTAランキング自己最高位シングルス4位。現役引退後はテニスの育成活動、テレビ解説など多方面で活躍。最近の仕事では『コートサーフェス研究 −砂入り人工芝ではトップテニスプレーヤーは育たない−』を出版。また、ウィリアムズ姉妹の父親をウィル・スミスが演じた映画『ドリームプラン』の字幕監修を務めた。◆『ドリームプラン』詳細はこちら>>
日本と世界の「テニス美女」たち
5 / 5