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全豪はどうなる?大坂なおみの現在地。スタッフに「トラウマになるような体験をさせてしまった」と反省するも、心の問題は先送り

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「もしまだ私のことが嫌いでないのなら、どうか来てください」

 2021年末----カリフォルニアの自宅にいた大坂なおみは、コーチのウィム・フィセッテやトレーナーの中村豊らに、そんなテキストメッセージを送ったという。

「自分自身に『本当に練習をしたいのか?』と、100%確信が持てるまで問い続けた。ウィムや豊は家族との時間を犠牲にして、私のために飛んできてくれる。もし私が練習できなかったら、彼らの時間を無駄にすることになってしまうのだから」

大坂なおみの復帰戦は順調に見えたのだが...大坂なおみの復帰戦は順調に見えたのだが...この記事に関連する写真を見る 先日、大坂は"再始動"の時を振り返った。

 そのような葛藤の背景には、チームのメンバーたちに不義理な行動を取ってしまったという、深い悔いもあったのだろう。

「私は彼らに、トラウマになるような体験をさせてしまったと思う。正直に言うと、彼らに相談もしないまま行動に移してしまったことがたくさんあった。彼らにとっては本当に不条理だったと思うし、それでもみんながわたしから離れずにいてくれることに、本当に感謝している」

 だからこそ、幾度も自分に「本当にテニスをしたいのか?」と質した末に、彼女の心と身体はゴーサインを出したという。

 昨夏の全米オープン3回戦で逆転負けを喫し、会見で「しばらくテニスから離れる」と涙ながらに語った時から、約3カ月経った日のことだった。

 大坂の「心の健康状態の問題」を巡る旅の始まりは、昨年5月までさかのぼる。全仏オープンの前哨戦で早期敗退が続いた大坂は、全仏開幕直前に「自分に疑いの目を向ける人たちの前で話すことは、精神衛生上よくない」として、記者会見拒否の意向をソーシャルメディアで公表した。

 だがこの行為が、多くの関係者を巻き込む騒動に発展したため、大坂は「事態を収束する最適な手段」として大会を棄権。同時に過度な注視と重圧のため、長くうつ状態に陥っていたことを明かしていた。

 そして迎えた、2022年のテニスシーズン。

 開幕戦となるメルボルンのツアー大会で、大坂は4カ月ぶりに公式戦のコートに立った。それは、本人曰く「思っていたより早い」復帰。昨年の全米後にコートから離れた時は、「2022年がどうなるのか、想像もつかなかった」からだ。

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