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日本女子テニス界に新星現る。鮮烈デビューを果たした本玉真唯とは何者? (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 それでも、「あの子のいいところは、いざとならったら、やりますと覚悟を決められるところ」と神尾氏は笑う。

「メンタルでヘコたれたら、即帰国ね。でも、どんなにボロ負けしても前向きにチャレンジできるなら、どんどん行きなさい」

 最後はそうハッパをかけて、笑顔でアメリカに送り出した。

 アメリカ遠征最初の大会は予選2回戦で敗れたが、ひとつ勝ったことが自信にもなったのだろう。2大会目となるシカゴの大会では、勝つたびに取り組みの正しさを実感するようになっていた。

 低い姿勢で走り、世界トップクラスの強打に食らいついてチャンスを作り、そして最後は、磨いたフォアをオープンコートに叩き込む。

 ふたりのトップ100ランカーを破る快進撃は、準々決勝で、2度のグランドスラム優勝を誇るガルビネ・ムグルサ(スペイン)に止められはした。ただ、その試合でも長いラリーはことごとく本玉が制し、ドロップショットを幾度もネット際に沈めている。

 敗戦後は「悔しさのほうが大きい」と微かに顔をしかめたが、最後には「今まで練習してきたことが全部出せた大会だった」と胸を張った。

 同時に今大会の経験から、本玉たちは多くの課題も持ち帰っている。

「まずは、身体をもっと強くしなくてはいけない。フィジカル面を鍛えないと、このレベルで勝ち続けられないなと思いました」。

 試合後の本玉が真っ先にそういえば、コーチの神尾氏も「体力も筋力も鍛えないと。帰国したらトレーニングかな」と笑った。

 これまで時に食い違いもあったコーチと選手の視点は、"世界のトップレベル"というプリズムを介してピタリと重なり、今、同じ方向を指している。

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