錦織圭は輝きを取り戻せるか。似た境遇の同世代ライバルに聞いた (3ページ目)
「あなたや錦織、ラオニッチ(カナダ/同14位)、そしてチリッチらは、かつて一時代を築く新世代だと期待されていた。今もまだ、それが可能だと信じているか」......と。
その問いに、好青年で知られるディミトロフは「僕の経験からでしか答えられないが......」と前置きしたうえで、真摯な口調で応じてくれた。
「あなたが名を挙げた選手は全員、僕に言わせれば今でもトッププレーヤーだ。調子がいい日には、今でもすばらしいプレーや試合ができる。状況が揃えば、すばらしい勝利を手にできる。
今、苦労している理由はそれぞれだが、僕は自分も含めて彼らのうちの誰ひとりとして、ラケットを置くその瞬間まで、その可能性が消えるとは思わない」
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ちなみにディミトロフは今季から、錦織のコーチを8年務めたダンテ・ボッティーニを新参謀につけている。
「彼(ボッティーニ)が今、誰も見ていないと知って、僕から連絡を取った。今まで、これほど気が合うコーチに会ったことがない」という彼は、心身の充実のなか、日々コートに向かえていると言う。
そのボッティーニと袂(たもと)を分かち、新たな声を取り入れ、新たな自分と出会おうとしているのは錦織も同様だ。「いい時がいつ来てもいいように、気持ちがネガティブにならないように、前を向いていきたい」と、虎視眈々とギアチェンジの機をうかがう。
同世代のライバルとも刺激を与えあいながら、世界のテニスシーンを沸かせたかつての"野心溢れる若者たち"は、再びその地位を目指す。
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