大坂なおみが歓喜を爆発させない理由。目指すはレジェンドよりレガシー (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


 試合後は、プレーヤーズラウンジ代わりに使われているカフェの一角で、短く立ち話をさせてもらった。

 生まれたのは日本であること、3歳でアメリカに渡ったこと、基本的に姉と父親の3人で練習し、ここまで来たこと......。彼女は、当時すでに180cmあった長身の背を少し丸めるようにし、こちらの質問に対し小さな声で、短くポツリポツリと最小限の言葉を返す。

 コート上の豪胆な姿とは対象的に、オフコートではとてつもなくシャイ......。それが、大坂なおみに抱いた第一印象だった。

 その時から3カ月後。

 彼女は、サンフランシスコ開催のWTAツアー大会で予選を突破して初出場すると、初戦で当時世界ランキング19位のサム・ストーサー(オーストラリア)を破り、一躍注目の若手プレーヤーとなる。

 腰を据えて彼女にじっくり話を聞けたのは、そのブレークスルーの時から1カ月後。短期間で多くの会見やインタビューを経験してきた彼女は、まだ恥ずかしそうにしながらも、そのような「仕事」にも幾分慣れた様子だった。

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