「錦織圭は誰よりも速い」。スーパープレーを生み出すスピードの秘密
たとえグランドスラムでの激闘や優勝の栄冠を掴んだトーナメントではなくとも、記憶に深く刻まれる試合や大会、あるいはひとつのプレーなどがある。
2018年の楽天オープンは、そのような鮮明なる思い出のひとつだ。
2018年楽天オープンの錦織圭の動きは際立っていた この大会で準優勝した錦織圭は、決勝までの勝ち上がりで、見る者を、そして対戦相手をも驚嘆させるプレーの数々を披露した。
多くの場合、錦織のスーパープレーと言えば「エアK」の通り名を持つフォアのジャンピングショットや、相手の虚を突くドロップショットなどが挙げられるだろう。だが、この時の錦織で印象に残っているのは、広範なコートカバー能力と、誰もが決まったと思うであろう相手のショットを、ことごとく拾うディフェンス能力だった。
2回戦のブノワ・ペール(フランス)戦では、試合の趨勢(すうせい)を左右しうる第2セットの競った場面で、快足を飛ばしてドロップショットに追いつき、相手コートのネット際に柔らかく打ち返してポイントをもぎ取った。
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