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「錦織圭は誰よりも速い」。
スーパープレーを生み出すスピードの秘密 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


 同データによると、錦織の最速値は10位(1位はノバク・ジョコビッチ、2位はアンディ・マリー)。平均値の順位はすべて公示されていないが、最速値の上位10人中で9位にとどまっている。

 もちろん、100人以上の選手が参戦するグランドスラムで上位1割に入っているのだから、速いことに違いはない。ただ、多くのライバルやファンが抱くイメージの錦織は、おそらくはもっと上だろう。

 では、チチパスを呆然とさせ、多くの識者たちをして「最も速い選手のひとり」と言わせしめる錦織のスピードの秘密とは何だろうか?

「14歳の頃の圭は、本当に華奢で細身。でも、いろいろな動作をさせてもすごく上手だという印象は、今振り返ってもあります」

 16年前の日をそう回想するのは、IMGテニスアカデミーでストレングス&コンディショニングコーチとして活躍する中村豊である。

 現在もアカデミーでデニス・シャポバロフ(カナダ)らを指導する中村は、錦織を含む盛田正明テニスファンドの奨学生3人が渡米した約4カ月後に、その腕を買われてIMGアカデミーのトレーナーに就任。求められたのは、当時14〜15歳の少年たちの基礎パフォーマンスの強化であり、その3人のなかで最年少の錦織は「フィジカル的に弱い」との情報も得ていた。

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