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大坂なおみを「年寄りになった
気分にさせる」10代の新星が急成長! (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 本人の言葉を借りれば、「テニス的にも、フィジカル面でもどん底」にいた時期。それでも、多彩なショットを操るエネルギッシュな17歳の姿は、日本の大会関係者に「ポジティブで礼儀正しく、とてもいいテニスをする選手」との印象を残していた。

 日本で上昇への足がかりを掴みつつあったアンドレスクは、自分より3歳年長の大坂がトロフィーを抱く姿に、「大きな刺激を得た」と言う。

 もちろん、当時の彼女がいた場所とインディアンウェルズのセンターコートには、とてつもない距離があった。だが、13歳の頃から瞑想を習い、自身の成功する姿を「映像的にイメージする」ことを慣わしとしていた彼女には、バカラのトロフィーの横で微笑む自分を想像することに、さしたる矛盾はなかったはずだ。

 全豪オープンを制した大坂が世界1位にも座した時、多くの人々は「大坂時代の幕開け」との言葉を口にした。だがそれは、「大坂の躍進を起点とした、彼女を中心とする新時代の幕開け」と表現するほうが正しいかもしれない。

 新星の出現や無名に近い苦労人の躍進は、選手間でも話題にのぼり、ロッカールームやプレーヤーズラウンジの空気を波立たせる。現在開催中のマイアミ・オープンでも、アンドレスクの試合を多くの選手たちがモニター越しに見ていたというが、同様の視線は、昨年の大坂が浴びたものでもあるだろう。

 アンドレスクは大坂の躍進に「大きな刺激を受けた」と言ったが、その刺激に心身を賦活(ふかつ)させられたのは、何も彼女だけではない。

 インディアンウェルズで大坂を破ったベリンダ・ベンチッチ(スイス)も、間違いなくそのひとり。大坂と同期で、15歳の頃から女王候補と目されながらもケガに苦しめられた早熟のエリートは、自分が何者だったかを思い出したかのように、先月のドバイ選手権で数々の上位勢を破り、4年ぶりのツアータイトルを手にした。

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