小柄でも強くなれる。西岡良仁が
培ってきたプロになるための思考法 (2ページ目)
僕もこのコートから出たし、全国優勝者も何人か出た。ここからでも強い選手は生まれるので、環境に恵まれないと強くなれないわけではない。そこは、みんなに知ってもらいたいです」
地方出身であることは、彼の反骨精神の......つまりは、強さの核を構成する要素でもあるだろう。小学6年生時に全国タイトルを総ナメにするも、フロリダのテニスアカデミー留学を支援する『盛田正明テニスファンド』選考会には幾度も落選した。
15歳の時、ボーナス的に訪れたラストチャンスをモノにしてIMGテニスアカデミーに渡ったが、周囲から聞こえたのは「150位より上には行けないだろう」の声。身長170cmに満たない細身で小柄な少年には、プロ養成所の空気はけっして優しくはなかった。
そんな周囲の声を全力で否定すべく、彼は結果にこだわったという。
「有望株と言われる子たちは、世界中にたっくさんいる。そのなかで誰が突出できるかはわからないです。僕だってIMGでは、コーチたちから『150位で止まる』と言われていた。けれど、ツアー優勝できるわけですし。
僕が突出できたのは、ひとつには、単純に負けず嫌いだからだと思います。試合は勝たないと意味がないと思っているので。負けてもいい試合、糧になる試合は確実にあります。でも、負けるか勝つかでいえば、試合は勝つに越したことはない。どんなに悪いプレーでも、勝つに越したことはないんです。
だって、悪いプレーでも勝てば、翌日めっちゃよくなるかもしれない。調子なんて、その日次第なので。負けるのであれば、どれだけがんばれたかです。将来を見据えて取り組むのも絶対に大事ですが、僕は小さいころから、今が大事と思ってやってました」
地方出身だからこそ、そして体格に恵まれていないからこそ育まれた『負けず嫌い』。
その気概と並ぶ、もうひとつの強さの理由を解く糸口は、今回のクリニック中に受けた質問への、返答にこそ潜んでいた。
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